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駐在型とシャトル型の国際支援

国際支援を行う場合、現地に駐在しながら支援を行うケースと、出張ベースで日本と現地を行き来しながら支援を行うケースがあります。それぞれどんな難しさがあるのか、私の実体験から紹介したいと思います。駐在型支援の難しさについては、別のコラムで青年海外協力隊の経験を通して考えたことなどをご紹介していますので、今回は出張ベースで行うシャトル型支援の難しさなどを中心に紹介いたします。

訪問者(外部の人)という立場になる

現在、私は東京に拠点を置き、担当する途上国での栄養改善・人材育成プロジェクトの進捗に合わせて、アフリカやアジアへ出張をするという働き方をしています。現地に訪問できる機会は限られるため、正確な現地の情報を必要なタイミングで入手することは困難です。

普段はメールやテレビ電話などを利用してコミュニケーションをとっていますが、それだけでは現地の方々が意識を向けていない分野や状況に関する情報を入手することはできません。例えば「飲んでいる水は衛生的かどうか?」というヒアリング事項を現地に投げただけでは、正確な情報は得られません。もし、水が濁っていることが当たり前の環境であれば、飲用水が不衛生であるにも関わらず、現地からの報告は「普通」だと返答される可能性もあります。そもそも水の衛生状態に現地のスタッフの問題意識が向かなければ、水に対して着目されず、観察が不十分になってしまうかもしれません。このように、実際に現地を訪れないと把握が困難な情報や見えて来ない課題がたくさんあるのです。

遠隔地から業務を依頼する

プロジェクト実施地に滞在して支援をしている場合であれば、実際に自分の目で状態を確認することができます。しかし、そうでない場合は、現地にいる駐在スタッフに確認を依頼するしかありません。そのため、正確な情報が得られるようにヒアリングやモニタリングの内容を綿密に考え、調査項目に落とし込みを行なっています。調査を実施する意味や目的、その結果がプロジェクトの何に役立つのかなどの情報を正確に依頼者へ伝達することが重要となります。

また、自分の代わりにヒアリングやモニタリングを実施する相手が栄養や衛生に関する知識がまったくないということを前提に考え、内容のわかりやすさ、記入のしやすさ、答えやすさなどを配慮することも重要です。そして、調査項目に認識のズレが起こらないように密にコミュニケーションを取りながら行なうこともポイントです。少しでも認識・理解にズレがあると、必要な情報がきちんと得られない場合があるからです。

このようにシャトル型の支援の場合には、現地の情報をすぐに自分の目で確認ができないという問題に対し、正確な情報を入手するために気をつけながら、現地とのコミュニケーションを行なっています。現地に行けないことに、もどかしさを感じることもありますが、そのかわりにどのような状況でも正確な情報を伝え、相手から欲しい情報を入手することができるコミュニケーションの能力は非常に鍛えられます。このスキルは現地とのやり取りだけでなく、国内にいるチーム内でのコミュニケーションやクライアントへのプレゼンテーションの場でも大いに役立っています。

 

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WRITER

栄養士の国際支援 – 駐在型支援とシャトル型支援

太田 旭

【国際栄養・母子保健】一般社団法人オルスタ代表理事。途上国へ進出したい日本企業向けコンサルティング、途上国での栄養改善・人材育成事業を担当する栄養士です。2004年~出身地である宮城県にて在宅型ホスピス、認可保育園、離島での僻地医療、災害支援(東日本大震災)に従事。2012年青年海外協力隊としてグアテマラに派遣。2015年~アフリカ・アジアを中心に活動。2019年独立し、国内外の食卓から世界平和を目指している。

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