日本糖尿病療養指導士の資格を持ち、糖尿病の予防から発症後の合併症予防まで幅広く栄養指導を行っている加藤知子さん。どのように糖尿病の栄養指導に関心を持ち、キャリアを積み重ねてきたのかおうかがいしました。
糖尿病の発症を未然に防ぎたい
その後、私は外来の特定保健指導を行なうクリニックに転職しました。総合病院では、糖尿病が発症した患者さんの療養を目的にしていましたが、今度は糖尿病発症リスクがある方を対象に栄養指導を行うことで、未然に糖尿病の発症を防ぎたいという思いが強くなったことが転職の理由でした。特定保健指導では、糖尿病センターでの経験は非常に役に立ちました。通院患者さんの中には、糖尿病の恐れがあるにもかかわらず、病院での診断を嫌がる方もいらっしゃいました。そんな時には、自分が糖尿病センターで経験したことを踏まえて、糖尿病の合併症のリスクや治療法などをきちんと説明することで、診断を受けることをご納得いただくことができました。
糖尿病の幅広いステージをカバーできるのが自分の強み
糖尿病は様々な合併症を引き起こしますが、網膜症、神経障害、腎臓病は3大合併症と呼ばれています。その中でも腎臓病を併発すると、タンパク質と塩分の摂取を控える必要があり、悪化すれば、慢性腎不全となり透析療法を受ける必要があります。私は腎臓病を併発した糖尿病患者の方にも栄養指導ができるようになりたいという思いから、血液透析のクリニックでも栄養指導を行っています。糖尿病の予防から、発症後、腎臓病の併発まで幅広い病状をすべてカバーして、栄養指導を行なうことができるというのは、自分の強みだと思っています。
管理栄養士の知識を共有できる場を作りたい
管理栄養士とは食事療法のプロだと考えています。人間が幸福な人生を送るためには、病気のない健康な生活が土台となります。それを実現するのが管理栄養士の使命ではないでしょうか。管理栄養士として経験を積むと、その人の食生活から将来の病気のリスクがある程度、予測ができるようになってきます。しかし、管理栄養士の職場は、一人の場合が多く、先輩からきちんと教えてもらうという機会がありません。私は、自分が学んできた経験や知識をまわりの管理栄養士に伝えられるような場を作っていきたいと考えています。Eatreatというサイトもその一つとして、活用していきたいです。
前回はこちら >>糖尿病の幅広い病状をすべてカバーできる栄養指導① - 加藤知子