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『①なぜ気を付ける必要があるか』

前回のコラムでも触れましたが、小児肥満は小児生活習慣病の原因となることがわかっています。特に食習慣が原因で起こる小児2型糖尿病患者の約70~80%は、診断時に肥満を伴っていると報告されています。(※1) そこで今回は小児肥満を予防する、3つの習慣(①食事 ②運動 ③睡眠)についてまとめました。

①食習慣
小児期に懸念される悪影響のある食習慣は、「朝食の欠食」と「食塩の過剰摂取」です。
朝食は1日のエネルギー源となるため、とても重要な食事です。また朝は、夕食からの時間が1番長く、最も身体がエネルギーを要求しているタイミングです。この時に食事をしない(朝食を食べない)と、エネルギーが枯渇しているのに、身体は動かさなければいけないため、肝臓が貯蓄している糖質をエネルギーとして血液へ送ることになります。この貯蓄している糖質がなくなると、体内の脂質やタンパク質を分解して糖質と変換することになり、成長の妨げになります。また、朝食の欠食は子どもの集中力にも影響する事がわかっているほか、朝食の欠食傾向にある児童に肥満が多いとも報告されています。(※2)
次に、「食塩の過剰摂取」についてです。食塩の過剰摂取と高血圧の関係(※3)は科学的にも証明されており、小児期における過剰な塩分摂取は見直す必要があります。日本人の食事摂取基準(厚生労働省)によると食塩の目標量は、1~2歳が3g未満、3~5歳は4g未満とされています。(※4)

②運動習慣
肥満を解消するにあたり、運動はとても重要です。肥満になりやすい子どもの場合は、消費エネルギーと摂取エネルギーのバランスが、摂取エネルギーに偏る傾向があります。
文部科学省が行っている「体力・運動能力調査」によると、子どもの体力・運動能力は、昭和60年頃から15年以上に渡り低下傾向が続いていると報告(※5)されており、テレビゲームやテレビの普及による運動離れが懸念されていました。
しかし平成10年から行っている「新体力テスト」においては、11歳・13歳・16歳の各年代で16年に渡り、体力の向上傾向を維持しています。(※6)
実際2006年度以降、肥満傾向児(8~17歳)は、おおむね減少傾向にあると報告されており、(※7)東京都では小児2型糖尿病の発症も2000年以降、増加していないと報告されています。(※1)体力の向上と関係している可能性が考えられます。

③睡眠時間
睡眠は成長に欠かせない大事な時間です。特に、子どもの成長に欠かせない成長ホルモンは睡眠開始後約3時間の間に1日の間で最も分泌量が多くなるため、しっかりと睡眠を取ることが重要です。この成長ホルモンは筋肉や骨格の発達、脂肪の分解に関わっており、睡眠時間が短くなると肥満に傾く可能性が考えられます。

子どもの年齢別の理想の睡眠時間は次のようになっています。
1~3歳…12~14時間
4~6歳…10~13時間
7~12歳…10~11時間
13~18歳…8~9時間

また、睡眠不足は交感神経の活動を強める事も知られています。交感神経の活動が強いと、糖尿病、高血圧、肥満のリスクが高まると考えられるため、注意が必要です。
以上、3つの習慣(①食事 ②運動 ③睡眠)に注意して、小児肥満を予防していきましょう。

参考文献:
※1 小児慢性特定疾病情報センター
  http://www.shouman.jp/details/7_1_2.html
※2 富山大学大学院 医学薬学研究部 疫学・健康政策学講座
  http://www.med.u-toyama.ac.jp/healpro/toyamast/toyamast.html
※3 日本高血圧学会
  http://www.jpnsh.jp/com_salt.html
※4 日本人の食事摂取基準 乳児・小児
  http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042642.pdf p362 p363
※5 子どもの体力の現状と将来への影響 文部科学省
  http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/gijiroku/attach/1344530.htm
※6 平成 25 年度体力・運動能力調査の結果について 文部科学省
  http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/10/__icsFiles/afieldfile/2014/10/14/1352498_01.pdf p2
※7 平成27年度 学校保健統計
  http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2016/03/28/1365988_01.pdf p6
・睡眠時間の表 すくすくのっぽくん https://www.suku-noppo.jp/data/sleep_time.html

「子供の食事と栄養」についてはこちらもチェック!
『赤ちゃんの鉄分補給』
『離乳食から幼児食へ~咀嚼の練習のため、食材への工夫は続く~』
『赤ちゃんには注意が必要な食べ物』

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みんなのコメント( 2

    • 竹田 裕子
    • 竹田 裕子
      549日前

      >橘様
      嬉しいお言葉ありがとうございます。
      その通りだと思います。
      生活の中で難しいご家庭もあるかと思うので、環境に合った支援が出来ると良いですよね。

      拍手 0

    • 橘 恭子
    • 橘 恭子
      551日前

      前日のコラムから興味深く拝見させていただいておりました。子供と睡眠時間の大事さの関係、もっと訴えていきたいですね

      拍手 0

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②小児生活習慣病の原因

竹田 裕子

長男の出産を機に家庭に入り、大きな活動はしていませんでしたが、2017年10月に「こどものごはん」を立ち上げ、現在は食育の普及活動に力を入れています。 3兄弟(3歳の息子と0歳の双子の息子)の母親と管理栄養士としての視点を合わせて、実践できる「こどものごはん」について考え、伝えていきたいと思っています。 経歴としては、博士号を取得後、療養型の病院で献立作成を中心に、介護病棟の栄養管理、カンファレンスを担当し働いていました。

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