今回は妊娠中期に気を付けたい栄養素の付加量についてです。
妊娠初期の付加量と食事についてはこちらを参照してください。
『妊娠初期(16週未満)の付加量・食事について』
【注意事項】
このコラムは「ふつう体型」であるBMI:18.5以上25.0未満の方を対象にしています。
「ふつう体型」以外の方や「ふつう体型」であっても医師の管理が必要な方は参考にはせず、お医者さんの指示に従ってください。(BMIは体重÷身長(m)×身長(m)で求められます。)
また年齢別の基本とするエネルギー量は18~29歳で1650kcal/日、30~49歳で1750kcal/日です。タンパク質の目安は18~49歳で50gです。こちらのエネルギーやタンパク質量に追加する量を付加量と呼んでいます。
妊娠中期(16~27週)
①妊娠中期の症状と食事について
妊娠中期の27週の間に、赤ちゃんは身長約35cm・体重約1000gにまで成長します(1)。妊娠中期では、つわりが収まり比較的過ごしやすくなる方も多いと思います。しかし、つわりでのストレスが無くなり、赤ちゃんと2人分食べなければいけない! とすぐに食事量を増やすのは要注意です。目安とする体重増加量は0.3~0.5kg/週(2)です。妊娠中期からは、体重測定を心掛け、自分の体重増加量を常に把握しておきましょう。
そして、お仕事をされている方は過労にならないよう、適度に休息を取りましょう。
②エネルギーの付加量は+250kcal
この時期のエネルギー付加量は250kcal/日、タンパク質は5g/日(3)です。妊娠初期とは違い、エネルギーの付加量が多くなり、タンパク質の付加量も始まります。ただ、意識して食べるほど多くは無いです。私のおすすめは1食のご飯の量を2~3口程度増やし、1日を通してご飯150gを増やす方法です。プラスで何か食べようとすると、食べ過ぎの原因にもなりますので注意が必要です。
以下にエネルギー及びタンパク質の付加量の目安になる食品をピックアップしました。パンの種類によっては300~400kcalの物もありますので、食品成分を確認できるものについてはそちらを見て、多くても300kcalは超えない物を選びましょう。また、ポテトの目安は一般的なSサイズ1つ分です。
妊娠中期の付加量の目安となる食品
・ご飯…150g(エネルギー250kcal、タンパク質3.7g)
・あんパン(薄皮タイプ)…1個(エネルギー260kcal、タンパク質6.6g)
・フライドポテト(S)…1個(エネルギー232kcal、タンパク質2.9g)
Eatreatの栄養価計算機でもエネルギーやタンパク質を確認できるので、気にな食品があれば調べてみてもいいかもしれません。
Eatreatの栄養価計算機へ
③必須脂肪酸n-3系の摂取を心がけましょう
必須脂肪酸とは、体内で作ることが出来ない脂肪酸の事です。体内で作る事が出来ないため、食事から摂取する必要があり、n-3系の脂肪酸には、主に青魚に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)があります。妊娠中は、胎児の神経系の器官形成のために、n-3系脂肪酸(EPAやDHAなど)の摂取が必要とされ、魚由来のn-3系脂肪酸摂取が少ない場合には、早産や低体重児出産のリスクが高いという報告もされています。妊娠中は特に、いわし、さば、ぶりなどの青魚も取り入れるようにしましょう。
また、中期からは、鉄分の負荷量の推奨量が2.5mgから15mgまで引き上げられます。鉄分の摂取も心掛けましょう。
鉄分、カルシウムの摂取に関してはこちらのコラムを参考にして下さい。
「妊娠期に! ミネラルが豊富な乾物を使ったレシピ」
参照:
(1)妊娠24~27週 公益財団法人 母子衛生研究会
http://www.mcfh.or.jp/jouhou/taiji/24_27week.html
(2)妊産婦のための食生活指針 「妊娠期の至適体重増加チャート」について p62
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a4.pdf
(3)妊婦・授乳婦 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4as.pdf
参考コラム
・『妊娠中のカフェインについて』
・『妊娠中の肥満は危険?正しい体重管理』
・『妊娠糖尿病とは?』