今回は妊娠末期に気を付けたい栄養素の付加量についてです。
妊娠初期と中期の付加量と食事についてはこちらを参照してください。
『妊娠初期(16週未満)の付加量・食事について』
『妊娠中期(16~27週)の付加量・食事について』
【注意事項】
このコラムは「ふつう体型」であるBMI:18.5以上25.0未満の方を対象にしています。
「ふつう体型」以外の方や「ふつう体型」であっても医師の管理が必要な方は参考にはせず、お医者さんの指示に従ってください。(BMIは体重÷身長(m)×身長(m)で求められます。)
妊娠末期(28~39週)
①妊娠末期の症状と食事について
妊娠末期の39週の間に、赤ちゃんは身長約50cm・体重約3100gにまで成長します(1)。妊娠末期では筋肉や聴覚、視覚、内臓など多くの重要な器官が完成します。赤ちゃんも大きくなり、急に体重が増えてしまうかもしれませんが、目安とする体重増加量は中期と変わらず0.3~0.5kg/週(2)です。基本的に臨月(36週)を超えるまでは、無理をせずお腹の張りを感じたら横になり休息することを心掛けましょう。
②エネルギーの付加量は+450kcal
この時期のエネルギー付加量は450kcal/日、タンパク質は25g/日(3)です。今までとは違い、軽食1食分ぐらいの付加量となります。ただこの時期は、お腹の圧迫により1度にたくさん食べられない場合があります。自分の状態に合わせて数回に分けてしっかり食べられるように工夫しましょう。
基本的には『妊娠中期(16~27週)の付加量・食事について』でおすすめしたように、1食のご飯の量を2~3口増やしトータルで1日150gのご飯を増やす食事にプラスして、肉か魚を1日100g増やすと、付加量の値に近づきます。
もちろん種類や部位によってタンパク質量に差はありますが、約100gの肉・魚からタンパク質20gが摂れると考え、肉と魚を交互に選んで食べましょう。
以下に「肉・魚100g中の栄養価計算表」のリンクを貼っておきますので、ご確認ください。
『肉・魚100g中の栄養価計算』
(計算結果を見るにはEatreatの会員登録が必要です)
Eatreatの栄養価計算機でもエネルギー量やタンパク質量を確認できるので、気になる食品があれば調べてみてくださいね。
Eatreatの栄養価計算機へ
③魚介類は食べる種類と量を確認しながらバランス良く
魚は良質なタンパク質や、妊娠期に必要な高度不飽和脂肪酸であるEPA、DHAを多く含み、食生活において不可欠な食材です。しかし魚介類には、自然界における食物連鎖により微量の水銀が含まれており、魚介類からの水銀摂取による胎児への影響が懸念されています(4)。(ただし、懸念されている影響は将来の社会生活に支障があるような重篤なものではありません。)
一部の魚介類には水銀を多く含む物がありますので、水銀濃度の高い魚に偏って食べることを避けるため、正しい知識を持って安心でバランスの良い食事を心掛けましょう。
参照:
(1)妊娠28~39週 公益財団法人 母子衛生研究会
http://www.mcfh.or.jp/jouhou/taiji/36_39week.html
(2)妊産婦のための食生活指針 「妊娠期の至適体重増加チャート」について p62
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a4.pdf
(3)妊婦・授乳婦 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4as.pdf
(4) 妊婦への魚介類の摂取と水銀に関する注意事項
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/index-a.pdf
参考コラム
・『妊娠中のカフェインについて』
・『妊娠中の肥満は危険?正しい体重管理』
・『妊娠糖尿病とは?』