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海外で活躍中の栄養士、イートリスタの太田旭が国際的な視点からの栄養情報をお届けします。

クライアントにとっての健康的な食事とは

「健康になるために、何を食べればいいですか?」
という質問をこれまで何度受けてきたか、はかり知れません。海外に限ったことではないのですが、私たち栄養士は、クライアントの健康状態や食環境のみならず、労働環境・運動量・嗜好・食事療法に対するコミット量など、ヒアリングにて多様な情報を得てこそ、多角的にクライアントにとってベストだと思う「健康的な食事」を提案することができると考えています。こちらに関して、面白い事例があるので紹介します。

ポテトチップスで子どもの栄養改善⁉

とある開発途上国で、子ども達の栄養改善を目的に少量のポテトチップスを配給したそうです。栄養価的に言えば、わずか数枚のポテトチップスで改善が期待できるとは思えませんでしたが、その子ども達は見事に栄養不良状態から脱したそうです。
極度の栄養失調により食欲不振で食べる意欲もなく、唾液など消化液の分泌も少なかった子ども達に、ポテトチップスがどんな作用を及ぼしたのでしょうか?

それには、ポテトチップスが子ども達の憧れだったことが大きく関係しています。大好きで夢にまで見たポテトチップスなら食べられるのでは? ということで、ポテトチップスの栄養価そのものではなく、食欲増進を目的として食すことを提案したのです。子ども達はわずか数枚のポテトチップスを食べていると、少しずつ食欲と共に唾液も出てきて、それまで身体が受け付けられなかった野菜や主食などの普通の食事がとれるようになったそうです。

健康な食事のレシピを提案するために

もしもこの子ども達がクライアントで、「健康になるために、何を食べればいいですか?」と聞かれるのみで、状況をヒアリングすることができなかったとしたら、あなたは子ども達にポテトチップスを推奨できたでしょうか。子ども達の病歴や体格指数情報だけで判断し、食欲がなく身体が食事を受け付けない状態であるというのを知ることなしに、このような提案はできないでしょう。一般的な「バランスの良い食事」を提案して終わりだったかもしれません。

食事や健康に関する論文や統計、有名・著名人のレシピ本の中には、「健康的な食事」の情報やヒントがたくさん含まれていますが、それがいつでもそのまま使える形であるとは限りません。栄養士の役割は、それらの中からクライアントにとって有益な情報を拾い集め、よりよい内容にまとめ上げて健康な食事のレシピを提案することではないでしょうか。そのためにも、クライアント自身やクライアント周辺の状況を詳細までヒアリングし、把握する能力が求められます。

②に続きます。

・『栄養士の国際支援 – 駐在型支援とシャトル型支援』
・『国際支援 – 青年海外協力隊の経験を通して考えたこと』
・『国際支援 - 強化したい6つの力』

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      5日前

      Eatreat編集部です!
      今回は海外で活躍中の栄養士である太田旭さんが国際的な視点からお届けする栄養情報コラムです!

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WRITER

現地で活用される愛されるレシピ作りのコツ①

太田 旭

【国際栄養・母子保健】途上国へ進出したい日本企業向けコンサルティング、途上国での栄養改善・人材育成事業を担当する栄養士です。2004年~出身地である宮城県にて在宅型ホスピス、認可保育園、離島での僻地医療、災害支援(東日本大震災)に従事した。2012年青年海外協力隊としてグアテマラに派遣。2015年アライアンス・フォーラム財団へ入団し、途上国での慢性栄養不良改善・貧困削減を目指して活動中。

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