10月16日は世界食料デー
世界食料デーとは、FAO(国際連合食糧農業機関)の創立記念日にちなみ、国連が定めた世界共通の日です。設立の目的は、世界のひとりひとりが協力し合い、最も重要な基本的人権である「すべての人に食料を」を現実のものにし、世界に広がる栄養不良、飢餓、極度の貧困を解決していくことです。
日本でも毎年10月を「世界食料デー月間」とし、食の課題を考えるような情報発信や、課題解決のためのアクションを起こしてくれる人を増やすためのさまざまなイベントが催されています。
世界の食料問題
世界では、9人に1人にあたる8億2100万人が、今も十分な食事ができずに飢えている状況です。この数字に関して驚くことは、その“飢え”が、単純に食料不足によるものではないということです。世界には人口75億人が十分に食べていけるだけの食料があります。それにも関わらず、飢餓に苦しむ人が今もたくさんいるのです。そして、これはどこか遠くの国の話のようですが、このようになっている原因の一つに、私たち日本人の日々の営みも大きく関与しています。
飢えの原因と対策
飢えに苦しむ人たちの約70%が、アジアやアフリカに住み、小さく農業を営む農家の人々です。農作物の栽培は天候や季節に大きく影響を受けます。それにより食料の生産が制限されてしまった結果、低収穫もしくは、無収穫に陥る期間が増えてきてしまい、これが飢餓の原因になっていると言われています。
ここで、日本人として問題意識を持っていただきたいフードロス課題についても触れていきたいと思います。世界では毎年食べるために作らされている食料の3分の1が捨てられていますが、日本は食料自給率が低いため60%以上の食べ物をわざわざ海外から輸入しているにも関わらず、世界の総食糧援助の倍量以上の食べ物を廃棄しているのです。
フードロスが与える影響のひとつに地球環境への負荷が挙げられます。食料を廃棄することで排出される温室効果ガスの量は、世界の総量の約8%を締めるそうです。これにより、気温や降水量などの気候変動、干ばつや洪水などの異常気象が起こります。そして食料生産環境はさらに厳しくなります。その影響を大きく受けるのは、アジアやアフリカなどに住む“飢え”に苦しむ小規模農家の人々なのです。
世界食糧デーをきっかけに、遠くの国の誰かにつながっているかもしれない自分の食の営みについて、個人や家庭でできるアクションを考えてみてはいかがでしょうか。
写真はすべてグアテマラの食料品店のものです
参考文献:
・国連食糧農業機関(FAO)(2015-2017年)
・農林水産省(2014-2015年)
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