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代表的な栄養素について管理栄養士が解説するシリーズ「Eatreatの栄養素事典」。
第25回目は「飽和脂肪酸」についてです。

脂肪酸とは

脂肪酸とは炭化水素のうち、末端にカルボキシル基を持つ化合物のことで、生体には偶数個の炭素を持つものが多いとされています。生体の身体の中で脂肪酸が、C₂の酢酸(CH₃COOH)単位から作られるためです。
脂肪酸は「fatty aci」と言います。文字どおり脂肪を作っている酸ということですが、水にも溶けず、リトマス試験紙が赤くなるわけでもないのに、なぜ酸と言うのでしょうか。



脂肪酸の分子の形について

脂肪酸の分子の形は、炭化水素鎖の端にカルボキシル基がついただけで、大変スッキリとしています。
炭化水素鎖の部分は枝分かれしたり、環を作ったり、途中にOH基がついていたりするものもありますが、そのような形はまれなケースで、ほとんどは1本のヒモのような直鎖状なのです。ちなみに脂肪酸は炭素の鎖の長さによって、長鎖・中鎖・短鎖に分けられます。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違い

さらに、二重結合があるかないかによって、飽和・不飽和脂肪酸に分けられます。脂肪酸の炭素の鎖が全て結合する手が埋まっていて飽和していること、つまり二重結合を持たないものを飽和脂肪酸と言います。炭素数が増えると、溶けにくくなるのですがそれが飽和脂肪酸です。一方、炭素数と二重結合の数が増えると、溶けやすくなります。それが不飽和脂肪酸です。

脂肪酸の融点の高低は何で決まるのか

炭化水素鎖が長いほど、分子の自由運動には大きなエネルギーを必要とするため、脂肪酸の融点は、炭化水素鎖が長くなるにつれて高くなります。たとえば、オレイン酸とステアリン酸は同じ炭素数ですが、オレイン酸の融点は14℃で、ステアリン酸の融点は70.1℃です。オレイン酸には二重結合が1つあるので、二つを比較するとオレイン酸の方の融点が著しく低くなるのです。

ステアリン酸の分子の形は、まっすぐなので分子同士はコンパクトに集合することができます。一方、オレイン酸の場合は湾曲しているので、分子と分子との間に大きな隙間ができます。そのためオレイン酸の方が分子同士の束縛がゆるく、分子が自由運動をしやすくなるので、融点が低くなるということです。

飽和脂肪酸の過剰摂取のリスク

飽和脂肪酸は、動物性の食品に多く含まれています。融点が高い、ということは室温でも固体のことが多いということです。二重結合を持たないので酸化がしにくいため、品質は安定しやすいのも特徴です。また、動物性に多いため、その動物が何を食べているかで脂肪酸も異なってきます。
飽和脂肪酸の摂取量の増加は、肥満や糖尿病や冠動脈疾患の発症リスクを高めると考えられています。身体の中でも合成できるため、摂り過ぎないよう心がけましょう。
一方で、飽和脂肪酸の摂取量が少ないと、脳血管疾患が増加するという報告もあるようですが、直接的な因果関係は明らかではないようです。脂肪酸はちょっとの量でも大きなエネルギーです。上手に摂り入れましょうね。

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参考文献
●七訂 食品成分表2016 女子栄養大学出版部 2016
●栄養科学シリーズNEXT 基礎栄養学 第3版 講談社 2015
●簡明食辞林 第2版 樹村房 1997
●栄養素キャラクター図鑑 田中 明・蒲池桂子 日本図書センター 2014
●世界一やさしい!栄養素図鑑 牧野直子 新星出版 2016
●アプローチ生体成分─食物・栄養・健康の化学─ 五明紀春 技報堂出版 1985



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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      5日前

      摂取量が多いと、肥満や糖尿病や冠動脈疾患の発症リスクを高めると考えられている飽和脂肪酸について解説します。

      拍手 0

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