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2019年は、国連人口基金が活動を開始して50周年目にあたります。そこで、今回は世界人口の推移とその背景やリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(=性と生殖に関する健康・権利)を中心に、世界の出産事情、人口増加と栄養不良の関係、栄養士が行う人口政策における家族計画教育について4回に渡って解説していきます。

20世紀の人口爆発まで

1770年から1830年頃、イギリスで起こった産業革命により、女性は新たな社会環境に身を置くことになりました。この頃の世界の出生数は女性1人あたり6人程(1800年)だったと言われています。貧困が減り、子どもの生存率は改善、教育の面でも女性の就学率や識字率が増加するなどの変化が見られた時代でした。当時は若い年齢で結婚し、たくさん子どもは産むけれど、妊娠や出産に関する性の知識が低いために、乳幼児死亡率は高く、そして、平均寿命が短いという状況でした。この頃の世界は、経済や社会においては多産が歓迎され、あらゆる場面で大家族が過ごしやすい仕組みになっていたそうです。

そして1914年から1945年までに起こった、第一次/二次世界大戦、また、世界各国で勃発した紛争や内戦などが終結した頃から、世界人口は急激に増加していきました。これは単に紛争によって死亡する人口が減ったからということではなく、世界各地で教育水準や医療水準、安全面でのインフラ水準が高まったことも大きく影響しています。そして20世紀には、人類は人口爆発と呼ばれる人類史上最大の人口増加に至りました。これは、我々人類が過去6千年の間に存在した全ての人口の合計の約5分の1が、現在の人口に当たるほどの急激な人口増加です。

 

リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは?

「リプロダクティブ・ライツ」を日本語に訳すと、性と生殖に関する健康・権利のことで、1994年のカイロで行われた国連会議(179ヵ国の政府代表が集まり、自発的な家族計画や安全な妊娠、出産ケアなどを含む包括的なリプロダクティブ・ヘルスケアを全ての人々が享受できるように求めた国際人口・開発会議)で、国際的承認を得た考え方のことを言います。女性が身体的・精神的・社会的に健康を維持し、①子どもを産むかどうか、②いつ産むか、③どれくらいの間隔で産むか、などについて選択でき、自ら決定する権利のことを示します。

「リプロダクティブ・ヘルス」は、人々が安全で満ち足りた性生活を営むことができ、生殖能力を持ち、子どもを産むか産まないか、何人産むかを決める自由をもつことを意味し、さらに、個人の生と個人的人間関係の高揚を目的とする性に関する健康(セクシュアル・ヘルス)も含むとされています。

また、リプロダクティブ・ライツは人権の一部をなし、すべてのカップルと個人が、自分たちの子どもの数、出産間隔、出産する時期について責任を持って自由に決定できることに加え、そのための情報と手段を得ることができるという基本的権利や、最高水準の性に関する健康およびリプロダクティブ・ヘルスを得る権利、差別、強制、暴力を受けることなく、生殖に関して選択し、自らが決定をする権利とされています。

 

次回予告

次のコラムでは、世界が取り組んできた人口政策「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」における、その潮流や具体的策について書いていきたいと思います。

 

参考文献
国連人口基金 https://www.unfpa.org/
国連人口基金東京事務所『世界人口白書2019』:
https://tokyo.unfpa.org/ja/publications/世界人口白書2019

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      122日前

      Eatreat編集部です。本日は、4回シリーズでお届けする、国際的に活躍中の太田旭さんのコラムの第1回目です。

      拍手 0

WRITER

第1回 リプロダクティブ・ライツ(=性と生殖に関する健康・権利)

太田 旭

【国際栄養・母子保健】途上国へ進出したい日本企業向けコンサルティング、途上国での栄養改善・人材育成事業を担当する栄養士です。2004年~出身地である宮城県にて在宅型ホスピス、認可保育園、離島での僻地医療、災害支援(東日本大震災)に従事。2012年青年海外協力隊としてグアテマラに派遣。2015年アライアンス・フォーラム財団へ入団し、途上国での慢性栄養不良改善・貧困削減を目指して活動中。

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