今回の診療報酬改訂では、管理栄養士の配置義務や栄養管理の重要性が強調され、診療報酬に関わる項目に大きな改定がありました。管理栄養士の活躍がますます期待されています。それでは、管理栄養士に関係が深い項目を抜粋し、4回にわけて紹介していきます。
Ⅰ 医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進
Ⅰ-3 タスク・シェアリング/シフティングのためのチーム医療等の推進
栄養サポートチーム加算の見直し
◆具体的な内容
結核病棟や精神病棟の入院患者に対する栄養面での積極的な介入を推進する観点から、栄養サポートチーム加算の対象となる病棟が見直されました。
【算定可能病棟】※下線が新たに追加となった病棟
急性期一般入院料1~7、地域一般入院料1~3、特定機能病院入院基本料(一般病棟)、専門病院入院基本料(7対1、10対1、13対1) 、療養病棟入院基本料1、2、
(追加)結核病棟入院基本料、精神病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(結核病棟、精神病棟)
Ⅰ-4 業務の効率化に資するICTの利活用の推進
医療機関における業務の効率化・合理化
◆具体的な内容
医療機関における業務の効率化・合理化を促進する観点から、診療報酬の算定に当たり、求めている記載事項について要件の見直しが行われました。
「栄養サポートチーム加算」注2等について、栄養治療実施計画の写しを診療録に添付すれば良いこととし、診療録への記載を、算定に当たっての留意事項として求められないことになりました。
(従来)栄養サポートチームの各職種の全てが栄養治療実施計画に基づき実施した治療等を診療録に記載
(新)写しを診療録に添付
外来栄養食事指導(情報通信機器の活用)の見直し
◆具体的な内容
栄養食事指導の効果を高めるため、外来における栄養食事指導における継続的なフォローアップについて、情報通信機器等を活用して実施した場合の評価が見直されました。
外来栄養食事指導において、2回目以降の栄養食事指導については情報通信機器を用いて行うことが可能となりました。
【外来栄養食事指導料】
1. 初回 260点
2. 2回目以降
(1) 対面で行った場合 200点
(2) 情報通信機器を使用する場合180点
〔算定要件〕注2
情報通信機器を使用する場合、医師の指示に基づき当該保険医療機関の管理栄養士が電話又は情報通信機器等によって必要な指導を行った場合に、月1回に限り算定する。
次回は、「Ⅱ 患者・国民にとって身近であって、安心・安全で質の高い医療の実現」について解説してきます。
参考文献1)
「令和2年度診療報酬改定」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00027.html
参考文献2)
「令和2年度診療報酬改定説明資料等について」厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352_00001.html
「令和2年度診療報酬改定の概要」厚生労働省保険局医療課、厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000616842.pdf
今回の解説者加藤 知子さんについて
管理栄養士、看護師、日本糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士
仙台白百合女子大学卒業。総合病院勤務、人間ドック・健診機関勤務を経て、現在一般社団法人食サポートオフィス代表。
生活習慣病を予防するための生活・食事相談から疾病により食事療法を必要とする方への食事相談など広範囲にわたって食生活をサポートしている。特定保健指導制度の開始とともに特定保健指導室の立ち上げや特定保健指導に従事。現在はWEBサイト・雑誌・書籍への掲載やレシピ提案、特定保健指導や外来栄養食事指導に従事する管理栄養士へのトレーニングを行っている。また、イートリートアカデミー本気で特定保健指導したい人向け講座【知識編】の講師でもある。
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