• COLUMN

栄養士に寄せられる食に関する質問には、「コラーゲンを含む食品を摂取すると、健康や美容に良い効果があるのでしょうか?」というものが多いのではないでしょうか。コラーゲンを含む食品が市場には多数存在していることからも、一般の方の関心の高さをうかがうことができます。今回は生化学・栄養学の視点から、以下の3点に焦点を当てて解説していきます。

1 コラーゲンの体内での働き

2 摂取したコラーゲンの行き先

3 コラーゲンの生成に必要な栄養素

1. コラーゲンの体内での働き

はじめにコラーゲンの体内での働きについて説明していきます。コラーゲンは皮膚、骨格筋、骨、軟骨、関節、靭帯、腱、眼(主に硝子体)などの結合組織の主成分となるタンパク質です。体内のタンパク質の中で最も量が多く、約25-30%を占めています。

コラーゲンは構造タンパク質に分類されます。構造タンパク質とは細胞や生体の構造、形態を形式づけたり、形を維持したりする役割を果たすタンパク質のことです。コラーゲンが構成する結合組織は、組織と組織を結合したり、細胞と細胞の間を埋めたりする接着剤のような役割を担い、弾力性の維持に重要な役割をはたしています。皮膚を例にとると、皮膚の強度と柔軟性はコラーゲンやケラチン繊維の絡み合った網目構造に由来し、骨や歯は、鉄筋コンクリートの鉄筋のように張り巡らされたコラーゲン繊維の網目構造によって、強度が支えられています。1)

2 摂取したコラーゲンの行き先

食物から摂取したコラーゲンはそのまま体の中で、コラーゲンとして利用されるのでしょうか。

コラーゲンだけでなく、体を構成しているタンパク質(体タンパク質)は分解と合成を常に繰り返しています。タンパク質の代謝には食物由来のアミノ酸、または体タンパク質由来のアミノ酸が利用されています。個々の体タンパク質は、常に一部が最小単位であるアミノ酸まで分解され、それに見合った量のタンパク質が新たなアミノ酸から合成されます。

このことからコラーゲンを摂取しても、そのままコラーゲンとして利用されるわけではないということがわかります。摂取されたコラーゲンはアミノ酸に分解されたのちに、再度タンパク質として合成されます。そのため、コラーゲンに由来するアミノ酸が必ずしもコラーゲンに合成されるわけではありません。骨格筋や爪、酵素成分として合成される可能性もあります。

3 コラーゲンを体内で作るには

それでは、コラーゲンを体内で生成するにはどうしたらいいのでしょうか。 コラーゲンの生成にはビタミンCが重要な役割を果たしています。コラーゲンは3重らせん構造になっており、それが結びつくことで弾力性のある丈夫な繊維を形成します。ビタミンCが欠乏すると正常なコラーゲンが作られず、骨がもろくなったり、皮膚や関節の弾力性が弱まったりするなどの影響がでます。その結果、皮下に出血が起きるのが壊血病です。2) 3)

食事でコラーゲンの材料となるタンパク質(アミノ酸)を摂取する際には、一緒にビタミンCの摂取を意識することが重要です。

最近の研究結果では、コラーゲンを摂取すると、コラーゲンに由来するジペプチドが血中に移行することが明らかになりました。一部の学説によると、外部からジペプチドを摂取することで、コラーゲンの生成が促進されると考えられています。その学説を根拠として、コラーゲンジペプチドを含む食品が市販されています。ただし、ヒトを対象としたエビデンスは現時点では存在していません。そのため、コラーゲンを摂取することによる直接的な美容効果の有無については、今後の研究に期待というところです。

参考文献
1) 坂井健雄、岡田隆夫 著:系統看護学講座、専門基礎分野、人体の構造と機能[1]解剖生理学、第9版、医学書院、2016
2) 上代淑人、清水孝雄 翻訳:イラストレイテッド ハーパー・生化学、原書28版、丸善、2011
3) 菱田昭、佐々木敏 監修:日本人の食事摂取基準2015年版、初版、第一出版株式会社、2014

 

おすすめコラム
腸内フローラって何?
薬膳の本場中国の医療事情と健康問題
カッサは予防医学
栄養×カッサで改善スピードアップ

コメントを送ろう!

「コメント」は会員登録した方のみ可能です。

みんなのコメント( 1

    • 池田 澄子
    • 池田 澄子
      826日前

      コラーゲンは、体内で分解されて重要な役割を果たしているんですね。美容効果の有無に関わらず、積極的に摂るべきだと思いました。コラーゲン鍋などで、ビタミンCを多く含むお野菜などを入れたら効果的でしょうか。

      拍手 0

WRITER

コラーゲンの摂取は美容や健康に効果があるか?

加藤 知子

・下記の各分野において、診療の一環として患者への栄養教育・患者会の開発、運営、講師担当、医療従事者への栄養教育等の一連の業務を行った。 <栄養指導・栄養相談事業>    ・武越内科クリニック(平成20年度~平成22年度、平成26年度)    ・地域栄養サポート自由が丘(平成23年~平成26年度) ・医療法人社団菅沼会 腎内科クリニック世田谷(平成24年度〜) ・医療法人瑛会 東京ネクスト内科・透析クリニック(平成25年度〜) ・渋谷笹塚循器HDクリニック(平成26年度~) ・はしば糖尿内科クリニック(平成26年、平成27年度) <疾病予防・啓蒙事業> ・認定特定非営利活動法人腎臓病早期発見機構(IKEAJ)の依頼を受けKEEP事業としての生活・食事指導を担当(平成25年度~腎内科クリニック世田谷にて) ・公益社団法人糖尿病協会 facebookサポーター(平成25年度~) 糖尿病や糖尿病療養指導の知識・啓蒙活動を管理栄養士の立場から支援。

加藤 知子さんのコラム一覧

関連タグ

関連コラム

"美容と栄養"に関するコラム

もっと見る

CONFERENCE

ログインまたは会員登録が必要です

会員登録がお済みの方

ログイン

まだ会員登録をされていない方

新規会員登録

ページの先頭へ