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低栄養の現状

2019年7月15日にニューヨークで報告された「世界の食糧安全保障と栄養の現状」報告書によると、3年連続で世界の飢餓人口の減少が続いているそうです。状況がもっとも厳しい地域はアフリカで、次に南アジアの割合が多いとされています。
その原因としては、気候変動や紛争(戦争・内戦)に加え、経済の低迷と景気の悪化が考えられます。健康的な食生活はもとより、個人の力量では病気や怪我の予防もままならない状況となっていると報告されています。さらに2019年以降の難民の増加や難民キャンプ環境の悪化、新型コロナウィルスによる保健・医療業界全体、国民個への負荷の影響を受け、2020年の数字がより一層厳しい結果になるのではないかと危惧されています。

GLIMとは

以上の状況を踏まえた上で、「GLIM」について考えていきましょう。GLIMとは”The Global Leadership Initiative on Malnutrition”の略です。「低栄養」を診断する際に用いられる国際的な診断基準で、2018年9月にClinical NutritionとJPENという学会誌(欧州臨床栄養代謝学会「=ESPEN」と米国静脈経腸栄養学会「=A.S.P.E.N.」)に初めて掲載されました。
 日本でも、世界各国の静脈経腸栄養関連学会(Parenteral and Enteral Nutrition「= PEN society」)の診断基準を活用し、主に病院などの臨床機関や在宅医療の現場などでの診断に基づきさまざまなアプローチがなされています。

GLIM基準による低栄養の診断の概要

GLIM診断基準の特徴は、低栄養の診断がスクリーニングとアセスメントの2段階で行うことです。スクリーニングに関しては、SGAやMUSTやNRS2002などが該当すると考えられ、各国で従来使用されているスクリーニングツールの活用が推奨されています。アセスメントについては、従来の栄養診断においては疾患や炎症が考慮されていませんでしたが、GLIM診断基準では病因には疾患や外傷に起因するとされる「炎症」についても評価が必要とされています。スクリーニング後の診断の流れは以下の通りです。

▼現症評価
①意図しない体重減少、②低BMI、③筋肉量減少。

▼病因評価
④食事摂取量減少/消化吸収能力低下、⑤疾患による不可/炎症の関与。

▼低栄養診断
現症評価①~③と、病因評価④~⑤の両分類から各1つ以上該当する場合、低栄養と診断。

▼重症度評価
現症評価の3つの事項のレベルにより「中等度低栄養」または「重症低栄養」と判定。

開発途上国におけるGLIM診断活用状況

私がよく訪れるアフリカ・アジア・ラテンアメリカ地域では、身長測定の実施がまだまだ定着できていないことから、評価に必要なBMI自体が算出できない国・地域があります。実際にGLIM診断基準が活用され治療などに活かされているケースは、数少ない大規模病院や私立の高度医療サービス提供医療機関に限られているという印象があります。今後、GLIM診断基準が活用されていくためには、その基本となる身長測定を各地域全体に拡大していくことが求められます。

 

参考文献
NCVI(=アメリカ国立生物工学情報センター)ホームページ
「GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition – A consensus report from the global clinical nutrition community」
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6438340/

 

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      89日前

      Eatreat編集部です。今回は国際的な低栄養の基準GLIMについて、イートリスタの太田旭さんが解説します。

      拍手 1

WRITER

国際的な低栄養の診断基準GLIMとは

太田 旭

【国際栄養・母子保健】一般社団法人オルスタ代表理事。途上国へ進出したい日本企業向けコンサルティング、途上国での栄養改善・人材育成事業を担当する栄養士です。2004年~出身地である宮城県にて在宅型ホスピス、認可保育園、離島での僻地医療、災害支援(東日本大震災)に従事。2012年青年海外協力隊としてグアテマラに派遣。2015年~アフリカ・アジアを中心に活動。2019年独立し、国内外の食卓から世界平和を目指している。

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