管理栄養士が働く現場で今求められていることは何か、どういった対応が必要とされているのか、コロナ禍における管理栄養士のお仕事の現場を紹介するシリーズの第2回目です。
今回はイートリスタの米山久美子さんのお仕事の現場をご紹介します。
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)が蔓延し、私たちの生活、そして管理栄養士の仕事も変化を余儀なくされた状況かと思います。今回は、コロナ禍における訪問栄養食事指導について、また認定栄養ケア・ステーションの栄養支援についてお話しします。
訪問栄養食事指導におけるコロナ対策
事業所のある東京都世田谷区は、都内で一番陽性者数が多い状況です1)。昨年の今頃、コロナのニュースが流れ始め、感染者数の増加に伴い、事業所では早い時期より訪問栄養食事指導実施時のルールを設けました。訪問前に療養者宅に連絡し、発熱や体調の確認、また訪問した際のルールも決めました。もちろん自身の体調管理に加え、基本的な手洗い、うがい、マスク着用は必須です。事業所のグループLINEも活用し、情報の共有も積極的行い、並行して訪問している地域の多職種との情報共有にも努めています。
感染リスク回避への対応
在宅療養者さんの多くはコロナに感染すると重症化するリスクが高いため、細心の注意が必要です。そのため、2020年4月と2021年1月の緊急事態宣言の発令に対しては、リスク回避に重点を置き、安定している方にはご連絡をして訪問日を延期したり、療養者さん側から訪問延期の希望がある場合にも可能な限り対応するような体制をとっています。ただ、食事や栄養に関して不安を感じている方も多く見られ、電話やオンラインでの対応を希望する声があるのも現状です。
訪問栄養食事指導内容の変化
外出制限などの影響を受け、いつも通りの食材の調達が困難になる方も多く見られます。そのため、日持ちする缶詰、レトルト食品、冷凍食品など賞味期限の長い食品や、日持ちしやすい野菜類の利用、食品を冷凍保存する方法なども含めた栄養指導を行います。また、食事内容が崩れると体調や生活のリズム、そして数値の悪化などにも結び付くことが予測されるため、できる限り大きな影響を受けないような支援も心がけています。
いつものように食材が調達できない状況下における、安心安全な栄養指導が求められると思います。
地域住民に対する栄養支援
コロナ禍において、地域で活動する認定栄養ケア・ステーションの管理栄養士として行ったことは、地域包括支援センターと社会福祉協議会と連携し、地域の皆さんへ向けてコロナ禍における栄養について発信を行いました。コロナ禍においても栄養を意識していただけるような情報媒体を作成し、地域の方へ何百枚も配布していただくことができました。認定栄養ケア・ステーションeatcocoのホームページにもコロナ特集の枠を作り、コロナ関係の栄養に関する情報や媒体を発信したところ、地域の方から活用させてもらっている! と嬉しい声を聴くこともできました。
コロナ禍だからこそできること!
コロナの影響を受けて地域の方が家に閉じこもり、フレイル(高齢者の心身の虚弱)に陥る危険が示唆されはじめ、地域で活動する管理栄養士・栄養士には、地域の方に対する予防から在宅で療養している方に対してまで、幅広い栄養支援が求められると思います。
また、食べることは生きることです。私たちが地域に根差した支援を行っていくことは、地域の皆さんが元気に、そして健やかに過ごしていただくために必要不可欠なのではないでしょうか? コロナ禍だからこそ、私たち管理栄養士・栄養士のできることを積極的に行っていけたらと思います!
参考文献
1)東京都:陽性者数(区市町村別)、新型コロナウイルス感染症対策サイト、https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/cards/number-of-confirmed-cases-by-municipalities/(閲覧日:2021年1月20日)
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