• COLUMN

腸を手術した後の食事について、全4回のシリーズでお伝えします。

増加する大腸がん

大腸がんは戦後より急速に増加しているがんで、日本国内においては約15万人以上の方が大腸がんと診断されました(2018年)。発生部位はS状結腸・直腸が最も多く、男性に多く発生する傾向があります。
大腸がんによる死亡数も、男性3位、女性1位、男女合計で2位という結果になっています。

〈がん死亡数の順位(2019年)〉

大腸がんは、早期に発見できれば手術療法により治療が奏功しやすいです。しかし、がんの初期段階では自覚症状が無いため発見されにくく、症状が現れた際にはすでに進行していることもあります。症状としては血便の頻度が高くなっています。

大腸の働き

大腸は、大きく分けて「結腸」と「直腸」からなり、全長約1.6mの管になっています。結腸はさらに盲腸・上行結・横行結腸・下行結腸・S状結腸に分けられ、直腸・肛門管と続きます。消化管のうち、消化・吸収が主に行われるのは小腸で、大腸では消化作用はほとんどなく、水分を吸収して便を形成し体の外に排泄する働きを行っています。
結腸は小腸から送られてきた内容物(液体)から水分、ナトリウム、塩素などの電解質を吸収します。便は結腸から直腸へ移動するとかたくなり、直腸のところで一時的に溜められて、肛門から体外へ排出されます。

 

大腸がんの治療

大腸がんの発生には、良性のポリープの入りが癌化して進行するタイプと、正常な粘膜から発生する2つのタイプがあります。大腸がんは腸管の粘膜上であればどこでも発生しますが、前述の通り日本人ではS状結腸がんと直腸がんが多く発生しています。

大腸がんが疑われた場合、大腸がんの進行度(ステージ分類)を調べます。
大腸がんの深さ・リンパ節転移の有無、多臓器への転移により0~Ⅳに分類されています。
近年では注腸造影検査や大腸内視鏡検査により、早期がんも発見されています。早期がんでは深さを判定するために、超音波内視鏡検査や細胞の病理検査を行い、結果をもとに治療方針が決まります。

① 手術療法
大腸がんの治療は、基本的に病気の部分を手術で取り除きます。手術には「内視鏡治療」「腹腔鏡手術」「開腹手術」などがあります。
良性のポリープや早期がんでは、内視鏡を用いた切除術が行われ、切除されたがんを病理検査し、がんが粘膜より下層に広がっていたり、転移が疑われた場合は手術による追加切除が行われます。ただし、がんが大きい場合や、手術前に明らかに粘膜下層にがんが認められた場合は、最初から開腹手術が選択されます。
大腸がんでは腹腔鏡下手術が発展しており、早期がんであれば適応になります。進行がんの場合は、開腹手術にて、リンパ節郭清を伴う腸管切除術が行われます。

② 補助化学療法
根治が困難な進行がんの例では、手術前後に放射線治療や化学療法を組み合わせます。
【放射線療法】
がんの部分に放射線を照射し、手術前のがんを縮小、または骨盤内からの再発予防を目的に行います。
【化学療法】
手術前後に抗がん剤を使用。手術でも取り切れない微小ながんが転移する場合もあるため、手術の補助的な治療として行います。

大腸がんの手術方法

【結腸がんの手術】
早期の結腸がんでは、腹腔鏡下の大腸切除術が適応となります。しかし、粘膜下層へ高度の浸潤が見られる場合やリンパ節転移を疑うケースでは、開腹手術が行われ、病巣のある腸管とリンパ節を切除します。

【直腸がんの手術】
早期の直腸がんの場合は、経肛門的切除術が適応となるが、進行がんの場合は開腹手術となり、がんの発生部位によって術式が異なります。肛門に近い直腸がんの場合、これまでは人工肛門の造設が主流でしたが、近年ではがんの部位が肛門側に近くても、肛門の機能を温存する「肛門括約筋温存術」が行われています。

 

参考文献
1)「最新がん統計」国立がん研究センターがん情報サービス、がん登録・統計 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html (閲覧日:2021年9月30日)

 

関連コラム
第1回 胃を手術したあとの食事の工夫 胃がんの治療
第2回 胃を手術したあとの食事の工夫 術後食から全粥食へ
第3回 胃を手術したあとの食事の工夫 注意したい手術後の後遺症
第4回 胃を手術したあとの食事の工夫 体重管理と栄養障害

コメントを送ろう!

「コメント」は会員登録した方のみ可能です。

みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      31日前

      「がんと食事」をテーマにした本コラム、今回はイートリスタの加藤知子さんに「腸を手術した後の食事」について全4回のシリーズで解説いただきます。

      拍手 0

WRITER

腸を手術したあとの食事の工夫 第1回 大腸がんの治療

加藤 知子

イートリートアカデミー本気で特定保健指導したい人向け講座【知識編】の講師。 仙台白百合女子大学卒業。 総合病院勤務、人間ドック・健診機関勤務を経て、現在一般社団法人食サポートオフィス代表。 生活習慣病を予防するための生活・食事相談から疾病により食事療法を必要とする方への食事相談など広範囲にわたって食生活をサポートしている。 特定保健指導制度の開始とともに特定保健指導室の立ち上げや特定保健指導に従事。 現在はWEBサイト・雑誌・書籍への掲載やレシピ提案、特定保健指導や外来栄養食事指導に従事する管理栄養士へのトレーニングを行っている。 【所有資格】 管理栄養士、看護師 日本糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士

加藤 知子さんのコラム一覧

関連タグ

関連コラム

"病気(症例別)と栄養"に関するコラム

もっと見る

CONFERENCE

ログインまたは会員登録が必要です

会員登録がお済みの方

ログイン

まだ会員登録をされていない方

新規会員登録

ページの先頭へ