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腸を手術した後の食事について、シリーズ全4回の第2回目です。
前回のコラムはこちらをご覧ください。

腸の手術後に起こる体の変化

手術により大腸の一部を失うと、体にどのような変化が起きるのでしょうか?
手術した部位や手術方法により違いはありますが、大腸を切除する範囲が大きいほど腸の機能を失うことになるので、手術後の身体にもたらす影響が大きくなります。

※排便機能の障害…下位の直腸切除術を行った場合は、人工肛門の造設が必要となる場合があります。
※性機能障害…排尿や性の機能に関する神経を手術により影響を受けるため、排尿障害や勃起障害をきたす場合があります。

大腸がんの手術はクリティカルパスといって、治療や看護ケア、栄養摂取方法の手順を標準化し、診療の効率化や医療の質の均一化をはかるためのプログラムになっていることがあります。(クリニカルパスとも呼びます。)
医療機関によってプログラムには差があり、患者さんの病態の違いや個人差もあるので、スケジュールはあくまでも目安の一つで、患者さんの状態により変更することもあります。

手術後の食事のポイント

手術した大腸の部位、治療法などにより個人差があります。
大腸は水分の吸収と、便の形成・排出の大きな役割がありますが、手術の内容によってはその機能が失われます。少量ずつ食事をとり始め、腹痛、下痢、便秘、膨満感やおなかの張りなど症状の変化を見ながら形態を常食へ近づけていきます。

〈手術による食事形態の進行例〉

【5分~7分粥食】
・食材は固形物もありますが、水分が多い食事です。咀嚼を十分に行い、食べ物を消化しやすい状態にしてから飲み込みます。
【全粥食~常食】
・手術前に食べていたような一般的な食事に移行している段階です。食品数などが増えていきます。

人工肛門造設術(ストーマ造設術)とは

ストーマとは、消化管や尿路を人為的に体外に誘導して造設した開放された孔であり、それぞれ消化管ストーマ、尿路ストーマといいます。
ストーマには一度造設したら永久的なものと、一時的なものがありますが、近年では自然肛門を温存する手術が拡大していることもあり、永久的なストーマは減少傾向にあります。

〈消化管ストーマの分類〉

ストーマを造設した人で、食物繊維や食物残渣の塊が腸管内に停滞し、便や消化液の排泄を阻害してしまうことをフードブロッケージといいます。特に回腸ストーマを造設した人は、フードブロッケージを防ぐために、繊維の多い野菜は繊維を断つように切るなどの調理の工夫をしたり、水分摂取、電解質摂取には注意が必要です。

ストーマを造設して年月が経ったあと、皮膚障害や腸管脱出などがあり、ストーマの管理が困難となるケースがあります。また、体重の増加などにより腹部の脂肪層が変化し、ストーマ部分が陥没してしまいストーマの管理が困難となることもあるため、肥満に留意し、一定の体重が保てるようにすることが大切です。

 

参考文献
1)齋藤典男、吉野孝之、落合由美:「最新版・腸を切った人を元気いっぱいにする食事170」、株式会社主婦の友社、(2019)

 

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第1回 胃を手術したあとの食事の工夫 胃がんの治療
第2回 胃を手術したあとの食事の工夫 術後食から全粥食へ
第3回 胃を手術したあとの食事の工夫 注意したい手術後の後遺症
第4回 胃を手術したあとの食事の工夫 体重管理と栄養障害

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      27日前

      イートリスタの加藤知子さんが解説する「腸を手術したあとの食事の工夫」の連載第2回目です。今回は、大腸手術後の身体の変化について解説いただきます。

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WRITER

腸を手術したあとの食事の工夫 第2回 大腸手術後の身体の変化

加藤 知子

イートリートアカデミー本気で特定保健指導したい人向け講座【知識編】の講師。 仙台白百合女子大学卒業。 総合病院勤務、人間ドック・健診機関勤務を経て、現在一般社団法人食サポートオフィス代表。 生活習慣病を予防するための生活・食事相談から疾病により食事療法を必要とする方への食事相談など広範囲にわたって食生活をサポートしている。 特定保健指導制度の開始とともに特定保健指導室の立ち上げや特定保健指導に従事。 現在はWEBサイト・雑誌・書籍への掲載やレシピ提案、特定保健指導や外来栄養食事指導に従事する管理栄養士へのトレーニングを行っている。 【所有資格】 管理栄養士、看護師 日本糖尿病療養指導士、病態栄養認定管理栄養士

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