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- 管理栄養士・栄養士インタビュー
- 2017.09.22
スポーツ栄養を通じて貢献したい - 管理栄養士 岡田あき子さん
スポーツ栄養の分野で活躍される、管理栄養士の岡田あき子さん。体育科学で修士課程を修了し、栄養とフィジカル両面の知見をもとにスポーツ選手をサポートされています。東京五輪に向けて、国全体でスポーツへの関心が高まる中注目されるスポーツ栄養について伺いました。
留学、大学院、専門学校を経て管理栄養士になるまで
中学生の頃からずっと陸上をしていたこともあり、スポーツと身体について科学的に学びたいと思い、大学では健康科学を専攻しました。
卒業してから一度は営業職として就職したのですが、スポーツにより深く関わりたいという思いが消えずにいたところ、たまたま雑誌で見たアメリカのアスレチックトレーナーという仕事に強く引き付けられました。まだ日本ではメジャーではない職業でしたが、スポーツ選手のサポートをするトレーナーを目指し、会社を辞めて渡米。オハイオ州の大学に通いました。2年半後に帰国し、よりその勉強を深めるため、今度は日本で大学院に入学し、体育科学の修士を取得しました。
大学院修了後は、家電メーカーでフィットネスの機器などの研究・開発をしていました。その頃、社内の方に影響されてマラソンに目覚めました。しかし、走り始めてから、ひどい貧血に悩まされるようになりました。今思えば、栄養の吸収がうまくいっていないのが原因でした。スポーツをするためにはきちんとした栄養の知識が必要なのでは? という思いがだんだんと強くなり、会社を辞め、栄養の専門学校に入学するという決断をしたのが33歳の時でした。
栄養士の資格を取得し専門学校を卒業した後は、フィットネストレーナーを派遣する会社に就職。フィットネスクラブでの栄養サポートなどを通して実務経験を積み、4年後に管理栄養士の試験に合格しました。
スポーツ栄養業務の実際
現在はフリーランスとして、栄養やスポーツの専門学校での非常勤講師、ソフトテニス部やラグビー部のチーム栄養サポート、個人選手への栄養指導、スポーツ栄養に特化した料理教室など幅広く活動しています。
例えば、今関わっている大学のラグビー部は、全員が部の寮で生活しているので、1日3食は業者さんが調理してくださいます。その献立を確認し、サプリや補食などのアドバイス、体重チェック、シーズンには試合に向けてのコンディショニングなどをサポートします。また、チームの中でも自分の身体と栄養に対する意識の高さなどは個々によってばらばらですし、同じものを食べても結果が異なるため、個々人に合わせたサポートを常に心がけています。
どの競技でも、伝えたことを理解し実践したうえで、「パフォーマンスが上がった!」などの結果が出たときはとてもやりがいを感じます。
また、食アスリート協会という、スポーツを食でサポートする団体に所属しており、スポーツ栄養を学びたい方むけのセミナー活動も行っています。
マラソンはライフワーク
もともと中学生から大学までずっと陸上競技部で、走ることは大好きでしたが、マラソンに目覚めたのは前述した通り会社員をしていた30歳です。それ以来、フルマラソンのレースに出場しており、現在も早朝や仕事に行く前など時間をやりくりして、週に5~6日、月間300kmほど走っています。
栄養の知識を自分の身体で実践しつつというところもあるので、実験も兼ねているといえるかもしれませんね(笑)。特に、しっかり食べて走ることの重要性は日々実感しています。ランニングブームの中で、選手だけでなく市民ランナーの方にも正しい栄養の知識を持ってほしいという思いも、より強くなってきました。以前の自分のように体調を崩したりすることなく、楽しく健康に運動を楽しむための知識を広めていければと思っています。
スキルアップのために
栄養の知識だけでスポーツのサポートはできません。競技種目や対象者によっても、必要とされる知識や技術は違います。自分はどんなサポートがしたいか、そのためには何が必要かということを考えて、それに向かって努力することがとても大切です。
私が今強化したいと思っているのが、相手のモチベーションを上げる力、「この人と一緒に体を作っていこう!」と思ってもらえるような、人を引き付ける力です。常にポジティブな気持ちでパフォーマンスを上げていけるよう、心理学やコーチングなどの知識を身につけられれば良いと思っています。
栄養は常に新しい常識が生まれる分野なので、最新の情報や論文を読むなどして自分の知識をブラッシュアップすることにも意識的に取り組んでいます。
また、おいしく・楽しく食事をすることもとても重要です。栄養のことだけを考えて味を二の次にしたメニューより、「楽しく食べて体を作ろう!」と前向きになれるおいしい食事の方がいいですよね。そのためにも料理の技術をもっと磨きたいと思っています。
このように常に新しいものを積極的に取り入れる姿勢を持ち、アスリートだけでなく一般の方にもスポーツと栄養に関する知識が広まり、みんなが楽しくスポーツを続けられるよう貢献できることが、私の目標です。
岡田あき子さん、ありがとうございました。
みんなのコメント( 1 )
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- ID: 337
- 2611日前
一般の栄養指導でも、コーチングを取り入れたりしていますよね。栄養士さんでも、栄養だけでなくいろいろな知識が必要なんですね。
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WRITER
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Eatreat 編集部
Eatreat編集部
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