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- 国際栄養
- 2022.03.23
青年海外協力隊 栄養士隊員での活動①
初めまして。この度、青年海外協力隊栄養士隊員の経験を3回に分けて書かせていただくことになりました。私が活動したのは2004~2006年と15年も前なので、現状と変わっている点もあるかと思いますが、少しでも国際協力に関心のある栄養士さん・管理栄養士さんの参考になれば幸いです。
青年海外協力隊応募当時の状況ときっかけ
私が青年海外協力隊に興味をもったのは、29歳とかなり遅めでした。念願の糖尿病外来のある直営病院に在籍し、食事療法を重視してくださる院長先生のもと給食管理、治療食調理、病棟訪問、栄養指導など多岐に渡る業務に関わり充実していましたが、30歳を目前にもっと広い世界を見てみたいという欲求を抑えきれず参加することに決めました。
2003年末に退職後、駒ケ根訓練所で79日間のスペイン語語学研修を受け、8名の同期隊員と共に中米「ホンジュラス」へ派遣されました。
派遣された任地の環境とホームステイ家族
私の任地は、首都テグシガルパからバスで3時間ほど行った山に囲まれた盆地テウパセンティ市にある、医師2名・准看護師3~4名が常駐し、隣接する施設に臨床検査技師と歯科医師も勤務する市内で一番大きな保健所でした。配属前に決められたホームステイ先は夫婦と子ども2人の4人家族で、すぐ隣にご主人の姉、母と4人の子どもたち、さらに犬、猫、うさぎ、鶏まで一緒に暮らしているとてもにぎやかな大家族でした。
テウパセンティは、町の中心部に大きな川が流れる豊かな自然にあふれた素敵な町です。しかし、道路はほぼ未舗装で、風の強い日には砂埃が舞い上がり、大雨が降ると雨が降る前に道路で見かけていた馬、ロバ、犬の排せつ物を含んだまっ茶色の水が勢いよく道路を川のように流れました。頻繁に起こる断水に備えて各家庭には大きな水槽が設置され、水道水は日々の生活で調理、洗濯、シャワーに使われていましたが、細かい土が混ざっていて飲料水には適さず、飲料水は大きな18L容器で販売されていました。
いよいよ始動!任地で見えてきた人々の生活
任務は、前任の看護師が4ヶ月ほど前まで同じ任地で栄養失調児の母親への教育活動していた流れを引き継ぎ、「栄養失調児の母親への栄養教育」の予定でした。しかし、多くの栄養失調児が生活する山中への同行者が決まらず、外国人女性の単独行動は危険という理由から保健所周辺での「糖尿病患者への栄養教育」へ変更になりました。当時、「贅沢病」といわれていた糖尿病が開発途上国で蔓延しているとは、派遣前には想像もしませんでしたが、実際には自力で歩くのが困難なほどの肥満者もいて、対極の栄養失調と共に保健所で重要視されている疾患でした。
清潔な飲料水が手に入りにくい環境では、下痢をした幼い子どもに哺乳瓶でコカ・コーラを飲ませている母親もいるほど、瓶詰めされた清涼飲料水が「安全な栄養のある飲み物」と認識されていることも大きな問題の一つで、老若男女問わず始終ジュースを飲んでいる姿を見かけました。また、日常の食事にはかなり多くの油が使われ、スナック菓子の消費もかなり多かったので、30名ほどの糖尿病患者さんを対象に開催した第一回目の講習会のテーマは、迷わず「油と砂糖」に決めました。
講師(筆者)がスペイン語初心者であることに加え、参加者の識字率が低かったので、模造紙に沢山の絵や図を描き配属先の女医のサポートを受けながら、計5回に分けて「日常的に食べた方が良い食材」と「控えた方が良い食材」についての講習会を開催しました。けれども、講義だけでは徐々に参加者が減っていく事態となり、対策を練ることとなりました。
次回は詳しい活動の様子をお伝えします。
みんなのコメント( 1 )
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- Eatreat 編集部
- 977日前
青年海外協力隊栄養士隊員として活躍されていた宮内千奈美さんに現地での活動を3回にわたり紹介していただきます。
"海外で活動する管理栄養士・栄養士"のバックナンバー
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WRITER
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宮内 千奈美
2004年-2006年まで中米ホンジュラスで栄養士隊員として活動し、日本では主に病院を中心に臨床栄養に携わってきました。 現在はメキシコシティの恵光日本文化館(恵光寺)に勤務しながら、心も身体も健やかに保てるような食と栄養に関わる情報発信を継続しています。
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