COLUMN

今春、厚生労働省より令和7年(2025年)食中毒発生状況が公表されました。過去5年分と比較しながらポイントを解説します。

2025年の食中毒発生状況

2025年は発生件数1,172件、患者数24,727人と過去5年間で最多となりました。特に2024年から2025年にかけて患者数が大きく増加しているのが特徴です。

出典:厚生労働省「食中毒発生状況」をもとに作成

2021〜2023年は新型コロナウイルスの影響下で外食機会が少ないことから発生が抑制されていましたが、新型コロナウイルスが5類へ完全に移行された2024年以降は外食機会の回復により、発生件数・患者数ともに増加したと考えられます。
また、2025年2月、兵庫県の仕出屋で発生したノロウイルス事案では、2,307名の患者が報告されました。1事案あたり1,000名以上の患者が出た事例は、2021年の岡山県の仕出屋で発生したノロウイルスの事例(患者数2,545名)以来です。2025年はこのような大規模調理による食中毒発生があったこともあり、患者数が過去5年で最多となりました。

2025年の原因食品、病因物質、発生施設の傾向

原因食品は、近年は「その他」を除くと複合調理食品などによる発生が多くを占めていましたが、2025年は魚介類による食中毒が事件数、患者数ともに最多となりました。
病因物質は事件数、患者数ともにノロウイルスが最多でした。近年は寄生虫(主にアニサキス)の発生が増加しており、事件数ではここ数年アニサキスが最多でした。しかし、アニサキス自体の事件数は2022年をピークに2025年にかけて減少傾向です。一方でノロウイルスの事件数は増加傾向で、5年間で最多となりました。

食中毒による死者数は年間数名程度で、ほとんどが自然毒によるものです。自然毒による死亡事例の多くは毒キノコやフグによるものでしたが、近年はイヌサフランによる食中毒で亡くなる方がほぼ毎年発生しています。イヌサフランの葉はギョウジャニンニク、球根はジャガイモやタマネギに似ており、誤食のリスクがあります。また、細菌やウイルスによる死者は出ない年もありますが、2025年は北海道の仕出屋の弁当に含まれていた腸炎ビブリオによって1名の死者数が出ています。

発生施設は5年連続で飲食店が事件数・患者数ともに最多です。仕出屋や給食施設での発生件数は少ないものの、1事例あたりの患者数が多くなる傾向があり、例年仕出屋の患者数は1,000名程度のことが多いです。2025年は事件数に大きな差はないものの、患者数が前年比約5倍に跳ね上がったことが、全体の食中毒による患者数を増加させた一因です。

出典:厚生労働省「食中毒発生状況」をもとに作成

食中毒予防のために

自然毒による食中毒はほぼ家庭で発生しており、誤食を防ぐ必要があります。一方、給食施設での食中毒について、2025年は半数以上がノロウイルスによるものでした。調理従事者自身に症状がある場合はもちろんのこと、同居家族にも症状がある場合は調理に携わらないことを徹底する、症状は出ていなくてもノロウイルス流行時は保菌している可能性もあるため、手洗いを徹底することが重要です。
また、2番目に多く発生しているウエルシュ菌による食中毒は、加熱調理後に常温放置することで発生しやすい食中毒です。調理後の温度管理を徹しましょう。

まとめ

2025年の食中毒発生状況について、近年の動向とともに振り返りました。ご自身の施設で食中毒事案を発生させないためにも、普段調理に携わっていらっしゃらない場合でも、調理従事者さんの衛生管理に注意を払うことが大切なのではないでしょうか。



参考文献
厚生労働省:令和7年(2025年)食中毒発生状況、https://www.mhlw.go.jp/content/001681441.xlsx(閲覧日:2026年4月22日)
厚生労働省:令和6年(2024年)食中毒発生状況、https://www.mhlw.go.jp/content/001472343.xlsx(閲覧日:2026年4月22日)
厚生労働省:令和5年(2023年)食中毒発生状況、https://www.mhlw.go.jp/content/001215431.xlsx(閲覧日:2026年4月22日)
厚生労働省:令和4年(2022年)食中毒発生状況、https://www.mhlw.go.jp/content/001077078.xlsx(閲覧日:2026年4月22日)
厚生労働省:令和3年(2021年)食中毒発生状況、https://www.mhlw.go.jp/content/000912971.xlsx(閲覧日:2026年4月22日)
厚生労働省:令和7年(2025年)食中毒発生事例、https://www.mhlw.go.jp/content/001681445.xlsx(閲覧日:2026年4月22日)
厚生労働省:令和6年(2024年)食中毒発生事例、https://www.mhlw.go.jp/content/001472342.xlsx(閲覧日:2026年4月22日)
厚生労働省:令和5年(2023年)食中毒発生事例、https://www.mhlw.go.jp/content/001215433.xlsx(閲覧日:2026年4月22日)
厚生労働省:令和4年(2022年)食中毒発生事例、https://www.mhlw.go.jp/content/000959521.xlsx(閲覧日:2026年4月22日)
厚生労働省:令和3年(2021年)食中毒発生事例、https://www.mhlw.go.jp/content/000948376.xlsx(閲覧日:2026年4月22日)



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WRITER

管理栄養士 / イートリスタ

横原 夢見

病院勤務を経て、現在はフリーランスとして専門学校の非常勤講師、コラム執筆、地域活動などを行っています。

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      15時間前

      管理栄養士の横原さんに過去5年間の食中毒発生状況の傾向について解説していただきました。

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