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- 特定保健指導
- 2023.06.27
標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)のポイント解説 ②
2023年3月に厚生労働省より公表された「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」の改訂ポイントを3回シリーズで解説いたします。
今回は、令和6年度版で新たに追加された「ICTを活用した特定保健指導の推進」についてです。
ICTによる遠隔保健指導
ICT(Information and Communication Technology)とは「情報通信技術」のことで、コロナウィルスの流行以降、日常生活に幅広く浸透するようになりました。利便性の高いコミュニケーション手段として、保健指導の現場でも活用が進んでいます。
離れた場所にいる相手と映像や音声でやりとりができる一方で、「個人情報流出のリスク」「対面での指導に比べて意思疎通が希薄になりがち」「年代によっては機器操作が困難」といった課題もあるため、それらを踏まえた対策が必要です。
【令和6年度版】改訂ポイント ~求められる能力~
「第1編 標準的な健診・保健指導プログラムの考え方」にある「健診・保健指導事業に関わる者に求められる能力」に、以下の内容が追加されました。
・事業のマネジメントを担う者:「ICT を管理する能力」
遠隔面接等の実施における環境・体制の整備として、面接の事前調整や準備、個人情報の保護への配慮、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(厚生労働省)に準拠した情報管理の徹底が求められます。
・健診・保健指導実施者:「ICT を活用する能力」
個人情報の保護に配慮した面接の実施、遠隔での効果的・効率的なコミュニケーション、さらには対象者側のICT環境やICTリテラシーに合わせた保健指導が実現できるような高い対応力を備えておく必要があります。
【令和6年度版】改訂ポイント ~実施における留意事項~
「第3編 保健指導」に、「ICTを活用した保健指導とその留意事項」が追加されました。
ビデオ通話システムやアプリケーション等を効果的に活用するためのノウハウが、2つの項目別にまとめられています。
(1)遠隔面接による保健指導の留意点
個人情報が守られた面接室の確保や通話機器のセキュリティ対策、実施者と対象者が相互に表情、声、しぐさ等が確認できるような通信環境の調整が必要となります。
遠隔面接の際は、聞き取りやすいように少し大きめの声でゆっくり話したり、カメラ越しでも伝わりやすいように表情やうなずきといった非言語コミュニケーションを駆使することも大切です。
そのほか、必要な資料をシステム画面上で提示したり事前送付しておく、面接開始前に対象者の本人確認を行うなど、対面指導と同等の質を維持するためのポイントが記されています。
(2)アプリケーション等を用いた効果的な特定保健指導の工夫
セルフモニタリングやユーザー同士の交流によって健康意識が高められることが期待されます。また、アプリケーション等の利用頻度が高いほど生活改善の達成率も高いことが指摘されているため、対象者に積極的な活用を促すような働きかけを行うことも大切です。
事前にデバイスの準備を周知しておく、初回面接時にはアプリケーション等の使い方や活用するメリットを説明する、初回面接後は対象者の利用状況を定期的に確認しながら継続利用を促すなど、保健指導において有効と考えられる導入例が紹介されています。
ICTによる遠隔保健指導は、対象者が複雑な操作をしなくても行えるような運用が求められます。わかりやすい手順書を作成するといった工夫や、実施が困難な場合は遠隔にこだわらず、保健指導自体が中断とならないよう柔軟に対応していくことが重要です。
参考文献
・厚生労働省:「標準的な健診・保健指導プログラム【令和6年度版】 」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194155_00004.html(2023年6月2日閲覧)
・厚生労働省:「第2回標準的な健診・保健指導プログラム改訂に関するWG」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31652.html(2023年6月2日閲覧)
関連コラム
・標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)のポイント解説 ①
・特定保健指導を始める前に勉強しておきたいこと
みんなのコメント( 1 )
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- Eatreat 編集部
- 515日前
管理栄養士の山田志織さんに解説していただく「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」の改訂ポイントシリーズ。2回目は、令和6年度版で新たに追加された「ICTを活用した特定保健指導の推進」についてです。
"標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)のポイント"のバックナンバー
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WRITER
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山田 志織
【主な活動】 ◆特定保健指導(ICT面談は4000件以上経験) ◆産業保健指導(健康保険組合非常勤) ◆研修(管理栄養士の育成) ◆コラム連載 ◆セミナー講師 ◆スポーツ栄養 【特技】 ★マラソン(走歴15年以上、100kmマラソン完走) ★アナウンス(学生時代アナウンス部)
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