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2024年4月に始まった「第4期特定健診・特定保健指導」では、生活習慣病予防をより効果的に進めるため、これまでの結果を踏まえた見直しが行われました。
実施率向上だけでなく、健康改善の効果を重視した新たな評価手法が導入され、より実践的なアプローチが推進されています。
本記事では、第3期との違いや、第4期で目指されているポイントを解説します。

特定健診・特定保健指導とは

特定健診とは、40歳~74歳の方を対象に、メタボリックシンドロームの予防・改善を目的とした健康診査です。
BMI・腹囲・血圧・血糖・脂質・肝機能などの測定に加え、生活習慣に関する質問票を用いたリスク評価が行われます。
健診の結果、生活習慣病の発症リスクが高いと判断された方は、特定保健指導の対象となります。
特定保健指導では、リスクの程度に応じて以下の2つの支援を受けることが可能です。

・動機付け支援:リスクが軽度な人を対象とし、生活習慣の改善に向けたアドバイスを提供
・積極的支援:より高いリスクを持つ人に対し、電話やメール、面接などで複数回の継続支援を行い、具体的な行動改善を促す

これらの取り組みを通じて、生活習慣病の予防を進めるだけでなく、医療費の削減にもつなげていくことが期待されています。

第3期特定保健指導の振り返り

第3期(2018~2023年度)では、実施率の向上を目指し、運用ルールの見直しが行われました。具体的には実績評価期間の短縮、初回面接の分割実施、モデル実施の導入などが行われました。

<2022年度の実績>
• 特定健診実施率:58.1%(2023年度の全国目標70%)
• 特定保健指導実施率:26.5%(2023年度の全国目標45%)
• メタボリックシンドローム該当者及び予備軍等の減少率:16.1%(2023年度までに2008年度比で25%以上)

現時点で最新の情報である2022年度の実施状況についての報告では、受診率・実施率ともに改善傾向にありましたが、目標には届いていません。
また、特定保健指導を受けた後の行動変容の持続性も課題となりました。
従来の評価は「指導を受けたかどうか」に重点を置いていましたが、第3期の終盤には「行動が変化したか」「現状が改善したか」といったアウトカム評価の重要性が認識されるようになりました。

第4期特定保健指導の取り組みと目標

第4期(2024~2029年度)では、より効果的な支援が行えるように、評価手法や運用ルールが見直されました。

<第4期の目標値>
• 特定健診実施率:70%以上
• 特定保健指導実施率:45%以上
• メタボリックシンドローム該当者及び予備軍等の減少率:25%以上(2008年度比)※いずれも第3期からの継続

また、新たにプロセス評価(支援の実施状況)とアウトカム評価(健康指標の変化)を組み合わせた評価手法が導入されました。受診率や実施率の向上だけでなく、実際の健康改善効果に重点を置く仕組みへと移行しています。

さらに、初回面接を特定健診直後に実施することで、対象者の負担軽減や実施率の向上が期待されます。その他、勤務形態や所在地にとらわれずに保健指導を受けられるよう、ICTの活用も引き続き推進されている項目の一つです。

まとめ

第4期特定保健指導では、より一層の健康改善を目指し、評価手法の見直しが進められています。特に、アウトカム評価の強化が図られ、ICT活用の継続とともに、より実践的で質の高い保健指導の展開が期待されています。



参考文献
厚生労働省:「第4期特定健康診査等実施計画期間における保険者
種別の目標値について」、https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001000404.pdf、(閲覧日:2025年2月12日)
厚生労働省:「特定健診・特定保健指導の実施状況について(2022年度)」、https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001255672.pdf、(閲覧日:2025年2月12日)

わくわくT-PEC:「第4期特定健診・特定保健指導の概要とポイントー主要達成目標は「腹囲2cm・体重2kg減」―」、https://t-pec.jp/work-work/article/394、(閲覧日:2025年2月12日)

厚生労働省:「第4期特定健診・特定保健指導の見直しについて」、https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/001127418.pdf、(閲覧日:2025年2月12日)
厚生労働省:「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」、https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001231390.pdf、(閲覧日:2025年2月12日)



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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      6日前

      2024年から特定健診・特定保健指導の第4期がスタートしました。まずは、第3期の振り返りと第4期のポイントについて、管理栄養士の千葉さんに解説していただきました。

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WRITER

第3期の振り返りと第4期のポイントを解説【特定健診・特定保健指導】

千葉 七海

幼少期から食べることが大好きで「食に関わる仕事がしたい」とぼんやり考えていました。将来的に地元の八丈島で働きたいという思いが強く、「栄養士ならば病院や福祉施設、学校でも働けるのでは?」と考えたことがきっかけで栄養士となり、実務経験と国家試験をへて管理栄養士となりました。 これまで、たくさんの出会いが私を成長させてくれました。管理栄養士としてフリーランスの今、本当にたくさんのお仕事に関わるチャンスが増えたと実感しています。良い意味で型にはまらず、どんなことにも挑戦していきたいと思います!

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