• COLUMN

TOP

管理栄養士の仕事の一つとして注目されている特定保健指導。未経験から特定保健指導の仕事を始めた私が、「特定保健指導を始める上で知っておきたかったこと」を全5回に分けてお届けします。
今回は、特定保健指導で栄養の知識以外で押さえるポイントをご紹介します。

保健指導をする上で必要な技術

特定保健指導のお仕事を始めようと思ったときに、皆さんはまず何から勉強しますか?
栄養アセスメントや、メタボリックシンドローム・生活習慣病に関連するガイドラインなどの知識は必要不可欠ですよね。しかし、それ以外に重要なのが面談の技術です。
標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度)では、保健指導の目的は生活習慣病予防を行うこと、としています。
この目的を達成するために保健指導では、健診結果をもとにしたリスクの判断や、把握すべき情報の選択、それらの情報に必要な質問を収集して活用すること、対象者がその課題に気づき行動目標を決定することを支援するなどの能力が必要です。
その基盤として、下記の7つの技術が必要といわれています。

①コミュニケーション技術:対象者との関係性を築く
②カウンセリング技術:傾聴、受容、うなずきなど
③アセスメント技術:対象者の行動変容ステージや、健診結果や質問などの情報収集と現状の把握
④コーチング技術:対象者に質問を繰り返し、自己理解や自発的な行動を促す
⑤ティーチング技術:メタボリックシンドロームや生活習慣の改善に必要な知識を伝える
⑥自己効力感を高める支援技術:モチベーションを高めたりや自信を引き出したりする
⑦グループワークを支援する技術:グループダイナミックスの利用や対象者同士で改善する意欲を促す

ICTを効果的に活用する技術

特定保健指導におけるICT(Information and Communication Technology=情報通信技術)の活用は、2013年から行われており、年々ニーズが高まっています。そのため、指導者にはこれらの知識や技術が必要不可欠になります。具体的には、遠隔面談ツールの操作技術や面談技術、スマートフォンやWEBで使用できるアプリの知識や支援技術、セキュリティ対策などです。対象者の中にはICTリテラシーの低い方もいらっしゃるため、そのような方に対して説明できるようなICTリテラシーが求められています。
今のうちからいろんなツールに触れて慣れておくこと、セキュリティ面などについても事前に学んでおく必要があります。

社会人としてのマナー

特定保健指導の仕事だけに限ったことではありませんが、社会人としてのマナーはとても重要です。
対象者に対して挨拶がなかったり、言葉遣いが適切でなかったりするのは、相手の気持ちを不愉快にしてしまいます。初回面談の最初は、自己紹介をした上で、「お忙しい中、お時間を作っていただきありがとうございます。」とハキハキと笑顔で挨拶をするだけでも好印象ですよね。正しい敬語や声のトーン、お辞儀などの立ち振る舞いも気をつけましょう。
また、契約している会社の方たちへの報連相(報告・連絡・相談)も重要です。何か困ったことやわからないことが合った場合は、自分だけで抱え込もうとせず、なるべく早く担当の方に相談しましょう。こうすることで大きなトラブルを未然に防げます。

TPOに合わせた服装や身だしなみ

服装や身だしなみはその人の印象を大きく左右します。特定保健指導をする上で、服装や身だしなみに気をつかうことで、その後の面談の流れをスムーズに運ぶことができます。
服装については、ビジネスの場でも浮かないような服装にしましょう。スーツのセットアップが一番スタンダードです。スカートを着用する場合は、膝が見えないものにすると良いですね。中に合わせるトップスやブラウスは、デザインや色が派手ではないものにしましょう。
メイクについては、派手なメイクやノーメイクはNGです。顔色がよく健康的に見えるナチュラルメイクを心がけましょう。ICT面談の場合、実際に見た顔とカメラ越しの顔に差が出ることがあるので、注意してください。髪型は目や顔のまわりに髪がかかると表情が分かりにくくなることがあります。清潔感を意識して、表情がわかるように気をつけましょう。
細かいルールについては会社により異なりますので、契約している会社のルールを必ず確認し、遵守しましょう。

次回はいよいよ最終回です。
「特定保健指導に携わる前と後のギャップ」をテーマにお伝えします。


参考文献
厚生労働省:「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」、厚生労働省、
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194155_00004.html 、(閲覧日:2023年8月1日)

厚生労働省:「第2回 効率的・効果的な実施方法等に関するワーキング・グループ」、厚生労働省、
厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25128.html、(閲覧日:2023年8月4日)



関連コラム
初回面談がうまくいかないときに振り返るポイント
特定保健指導を始める前に勉強しておきたいこと

コメントを送ろう!

「コメント」は会員登録した方のみ可能です。

みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      232日前

      管理栄養士の宮﨑奈津季さんにご紹介いただく「特定保健指導を始める上で知っておきたかったこと」のシリーズコラム。今回は特定保健指導で栄養の知識以外で押さえるポイントについてご紹介いただきます。

      拍手 1

"管理栄養士のお仕事~特定保健指導~"のバックナンバー

もっと見る

WRITER

特定保健指導で栄養の知識以外で押さえるポイント

宮﨑 奈津季

女子栄養大学栄養学部実践栄養学科卒業。 介護食品メーカーで営業に従事した後、独立。 料理動画撮影やレシピ開発、商品開発、ダイエットアプリの監修、栄養価計算などの経験あり。 現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。 Chatwork、Slack、Zoom、Wordpressなどの使用経験あり。

宮﨑 奈津季さんのコラム一覧

関連タグ

関連コラム

"管理栄養士・栄養士の仕事"に関するコラム

もっと見る

ログインまたは会員登録が必要です

会員登録がお済みの方

ログイン

まだ会員登録をされていない方

新規会員登録

ページの先頭へ