管理栄養士・栄養士は、食や栄養の分野で病院や高齢者施設、学校、保育園、行政、食品メーカーなどさまざまな職場で活躍しています。職場によって仕事内容や求められることが異なるのも、この資格の面白いところです。
この連載では、さまざまな職場で働いている管理栄養士・栄養士の方に経歴や仕事内容、仕事のやりがいについて紹介します。
今回は、健康保険組合で特定保健指導のお仕事をされている管理栄養士のM.Hさんにお話をお伺いしました。
大学卒業後~現在まで
大学卒業後は、病院へ就職しました。直営給食だったので、主な業務は給食管理で、空いた時間に栄養管理計画書の作成を行い、栄養指導はたまに依頼がある程度でした。その後、知人の紹介で特定保健指導の専門会社へ転職しました。大学時代から予防分野に興味があり、かねてから保健指導業務につきたいと周りに公言していた中での紹介だったので、迷うことなく決断できました。4年ほど勤めた後、健康保険組合へ転職し、現在は特定保健指導にかかる業務全般を担当しています。
今の仕事に出会った経緯
今の職場である健康保険組合へ転職する前に、スキルアップを目的に健康運動指導士の資格を取得しました。資格取得と同時並行で、転職活動を進め、エージェントや求人サイトも使用していましたが、最終的にはハローワーク経由で現在の職場に出会いました。
このときの転職で重視した点は、下記のとおりです。
・今まで会ったことない業種の方への保健指導をしてみたいということ
・特定保健指導以外の健康教室などの業務にも携われるか
・研修や情報交換できる場が充実しているか
特定保健指導は健康保険組合や健診機関、専門会社など、さまざまな会社が提供しているので、転職前に会社調査や面接でのやりとりから、希望に沿うかどうかを検討して決めました。
健康保険組合での仕事内容
主な業務は、特定保健指導の初回面談です。初回面談は、対面(訪問)面談とICT面談に対応しており、ほぼ毎日どこかの会社へ訪問しています。1日数件訪問することもあれば、1つの会社で複数人対応する場合もあり、毎日のスケジュールは変則的です。その他、特定保健指導に付随する業務として、電話や手紙による継続支援、保健指導の利用勧奨業務なども行っています。また、会社での健康教室の依頼で出向くこともあります。
健康保険組合での仕事のやりがいを感じる瞬間
健康保険組合では、初めて特定保健指導の対象になった場合でも、過去の健診結果の閲覧が可能です。そのため、健康へ関心のない方でも、体や生活習慣の変化を一緒に振り返ることで、健康に対する気持ちの変化が見られることもあります。また、減量だけでなく、生活習慣の見直しが必要だと実感していただける場面に出会うこともあります。
継続支援のなかで、体重や腹囲など数値の変化が見えると嬉しく思いますが、それ以上に、対象者の方の頑張りや健康への意識が変わっていく姿が見えたときは、特にやりがいを感じる瞬間です。
「特定保健指導」とは言いますが、こちらから「指導する」「健康を強要する」というよりも、現状の把握や健康を考えるきっかけとなる場を提供することを意識して取り組んでいます。
健康保険組合の管理栄養士として求められるスキルと向いている人
管理栄養士として、基礎的な知識はもちろん、メディアで話題の健康情報についても意見を求められることがあります。そのため、講習や学会などで専門的な知識を学ぶ以外にも、テレビや書籍なども定期的にチェックしています。また、健康運動指導士は更新制なので、講習の受講などが学びのきっかけにもなり、取得して良かったと思っています。
この仕事は毎日いろんな方にお会いするので、タイプに合わせて柔軟にアプローチ方法を変えられる方が向いていると思います。専門的になりがちな話をどれだけ相手に理解してもらえる形で伝えられるか、実際に相手の反応を見ながら、自分の引き出しを増やしていくことが必要だと感じます。
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