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本コラムでは、「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」の改訂ポイントを3回シリーズで解説しています。
最終回となる今回は、特定保健指導に関する変更点である「アウトカム評価の導入」と「特定保健指導の見える化」についてです。

【令和6年度版】改訂ポイント ~特定保健指導の評価体系~

特定保健指導の実施方法の見直しにより、ポイント制となっている3カ月以上の継続的な支援にアウトカム評価が導入されます。
積極的支援において、第3期までは支援の「プロセス(介入量)」によって180ポイント以上を満たすことが、特定保健指導の終了条件となっていました。しかし、第4期からは「アウトカム(成果)」を踏まえた評価方法が加わり、プロセス評価とアウトカム評価を併用した体系へと変更になります。
「支援をどれだけ受けたか」より「成果が出たかどうか」が重要視される方法になり、特定保健指導の実施者は、対象者の成果(数値の改善、行動変容)をより一層意識しながら支援を行うことが求められるようになります。

・積極的支援のポイント構成
新たに導入されるアウトカム評価は、当該年度の健診結果から「腹囲2cm・体重2kg減」が主要達成目標とされており、実績評価の時点で達成している場合には、その間の介入量は問わず特定保健指導を終了することができます。
未達成の場合には、「腹囲1cm・体重1kg減」や対象者の行動変容を評価し、プロセス評価と合わせて180ポイント以上を満たす構成となっています。

これまでも行われてきたプロセス評価は、時間に比例したポイント設定を見直し、介入1回ごとの評価となります。最低時間は引き続き設定されていますが、現行の支援Aと支援Bの区別は廃止されます。
また、特定保健指導の早期介入が対象者の行動変容を促す上で重要であることから、特定健診実施後の特定保健指導(初回面接)の早期実施を新たに評価することになりました。

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・行動変容のアウトカム評価について
「食習慣の改善」といった行動変容は、実績評価の時点で改善が2カ月以上継続している場合に評価することができ、行動目標の達成状況に応じて実績評価者が判断します。

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初回面接や中間評価で行う目標設定が重要となり、対象者が具体的に実践可能で、かつ評価可能な行動目標を設定しておく必要があります。事前に設定した目標以外の行動変容についてはポイントに算定することができないため、対象者と目標や達成条件についてしっかりと共有しておくことが大切です。

特定保健指導の効果を「見える化」

特定保健指導は、個人の特性に応じた質の高い指導を対象者に還元していくことが重要です。
そのため、対象者の行動変容に関する情報やアウトカムの達成状況などから、効果的な取り組みを明らかにして好事例を収集し、横展開していく「見える化」が推進されています。
第4期の特定健診・特定保健指導の実績報告データが集まる2026年以降、保険者ごとの集計結果を順次公表することとして、集計項目などの検討が進められています。

まとめ

以上、3回にわたって「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」の改訂ポイントを解説してきました。来年度からの実施に向けて、原本にも目を通しながら詳細を把握し、業務に必要な知識を備えておきましょう。


参考文献
・厚生労働省:「標準的な健診・保健指導プログラム【令和6年度版】 」
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194155_00004.html(2023年6月23日閲覧)
・厚生労働省:「特定健康診査・特定保健指導の円滑な 実施に向けた手引き【第4版】」
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/handbook_31132.html(2023年6月23日閲覧)
・厚生労働省:「第3回 第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会 資料」
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28516.html(2023年6月23日閲覧)
・厚生労働省:「第4回 第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会 資料」
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32325.html(2023年6月23日閲覧)

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      491日前

      山田志織さんに解説いただく「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)のポイント」シリーズ。最終回となる今回は、特定保健指導に関する変更点である「アウトカム評価の導入」と「特定保健指導の見える化」についてです。

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WRITER

標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)のポイント解説③

山田 志織

【主な活動】 ◆特定保健指導(ICT面談は4000件以上経験) ◆産業保健指導(健康保険組合非常勤) ◆研修(管理栄養士の育成) ◆コラム連載 ◆セミナー講師 ◆スポーツ栄養 【特技】 ★マラソン(走歴15年以上、100kmマラソン完走) ★アナウンス(学生時代アナウンス部)

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