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特定保健指導の第一歩となる「初回面接」は、対象者の行動変容を支える重要なステップです。第4期では、実施率や成果向上に向け、面接の“質”がこれまで以上に重視されるようになりました。
本記事では、初回面接の基本的な流れに加え、対面・ICT・当日分割面接といった実施形式の特徴や対応ポイントについて解説します。

①特定保健指導の流れ(初回面談〜最終支援まで)

第4期ではアウトカム評価が導入され、面接を通じた“行動の変化”が、より重視されるようになりました。対象者の意欲を引き出す丁寧な関わりが、行動変容の第一歩となります。
その上で重要なのが、健診結果への理解を促し、生活習慣の振り返りと現実的な行動目標の設定を行うことです。
設定された行動目標をもとに、継続支援では日々の実践状況を確認しながら支援を続け、最終評価ではその変化を振り返ります。この一連の流れを通じて、対象者自身の生活習慣の改善を目指します。

②実施形式ごとの違いと対応ポイント

初回面接の実施形式は、対象者の多様な生活スタイルや勤務状況に配慮し、複数の実施形式から選択できる仕組みとなっています。

・対面面接
対面形式では、同じ空間で対象者と向き合えるため、表情・声のトーン・しぐさなどの非言語的な情報も把握しやすく、信頼関係を構築しやすい点が特長です。対象者の反応を直接確認しながら話を進められるため、理解度に応じた柔軟な対応が可能です。また、紙の資料や模型を活用した説明もしやすく、特定保健指導が初めての方にとっても安心感があります。

・遠隔面接(ICTを活用した面接)

オンライン会議システムを利用する遠隔面接は、遠方に住んでいる方や在宅勤務中の方でも参加しやすく、通勤時間や移動の負担がなく、柔軟に日程が調整できます。一方で、通信環境や機器の操作に不慣れな対象者への配慮も必要です。スムーズな接続のため、事前の案内やテストを行うと安心です。本人確認や接続の安定性確保も忘れずに対応しましょう。

・当日分割面接
健診当日に、面接の一部(例:15分程度)を実施し、残りの時間を後日改めて行う形式です。当日の空き時間や対象者の都合に応じて柔軟に対応できるため、初回面接の実施率向上に寄与します。特に、健診当日は対象者の健康への関心が高まっているタイミングであるため、モチベーションの高い状態で面接を開始できるのも利点です。当日面接が一部でも実施されていれば、「早期面接」の評価ポイント加算の対象となり、制度的にもメリットがあります。

③初回面接の基本の流れとポイント

初回面接のやり方はさまざまですが、おおよそ5つのブロックに分けられます。それぞれのポイントについて順を追って解説します。

1.あいさつ・信頼関係の構築
対象者がリラックスして話せるよう、笑顔や共感を意識した対応を心がけましょう。アイスブレイクも効果的です。

2.健診結果の説明とリスクの共有
数値の説明では、「なぜこの結果が重要なのか」をわかりやすく伝えることがポイントです。対象者の不安や疑問にも丁寧に対応しましょう。

3.生活習慣の振り返り(アセスメント)
食事・運動・睡眠・喫煙・飲酒などの習慣を丁寧に聞き取り、現状を一緒に確認しましょう。対象者自身の気づきを促すことが大切です。

4.目標設定(行動目標の策定)
対象者の意欲や生活背景に即した、実行可能な目標を一緒に設定しましょう。

5.支援方針の確認と次回案内
今後の支援内容や実施形式、面接や支援の頻度などを共有し、対象者の納得感を大切にしましょう。

④まとめ

初回面接は、対象者との信頼関係を築き、生活習慣の見直しと行動変容につなげる第一歩です。限られた時間の中でも、対象者の気持ちに寄り添いながら、前向きな行動を引き出すよう支援しましょう。
実施形式を柔軟に活用することが、より効果的な支援の鍵となります。こうした取り組みが、第4期における質の高い保健指導へとつながっていきます。



参考文献
厚生労働省:「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001231390.pdf
(閲覧日:2025年4月9日)

厚生労働省:「特定健診・特定保健指導の見直しについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/001127418.pdf
(閲覧日:2025年4月9日)

厚生労働省:「第4期特定健康診査等実施計画期間における保険者種別の目標値について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001000404.pdf
(閲覧日:2025年4月9日)

厚生労働省:「特定健診・特定保健指導の実施状況について(2022年度)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001255672.pdf
(閲覧日:2025年4月9日)




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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      3時間前

      特定保健指導の中でも、最初に対象者と顔をあわせる「初回面接」。管理栄養士で特定保健指導に従事されている千葉七海さんに、第4期における初回面接のポイントを解説していただきました。

      拍手 0

WRITER

特定保健指導の初回面接の流れやポイントを詳しく解説

千葉 七海

幼少期から食べることが大好きで「食に関わる仕事がしたい」とぼんやり考えていました。将来的に地元の八丈島で働きたいという思いが強く、「栄養士ならば病院や福祉施設、学校でも働けるのでは?」と考えたことがきっかけで栄養士となり、実務経験と国家試験をへて管理栄養士となりました。 これまで、たくさんの出会いが私を成長させてくれました。管理栄養士としてフリーランスの今、本当にたくさんのお仕事に関わるチャンスが増えたと実感しています。良い意味で型にはまらず、どんなことにも挑戦していきたいと思います!

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