日本では、地域ごとに風土や気候の特徴があり、その土地ならではの食材がたくさんあります。
「日本各地の食材紹介シリーズ」では、地域ならではのおいしい食材の旬や栄養、おいしい食べ方などをご紹介していきます。
愛媛編の第3回目でご紹介する食材は、秋に旬を迎える「里芋」です!
里芋の旬と日本文化
里芋は日本の食文化に欠かせない食材です。旬は10月から11月の秋の季節で、中秋の名月では収穫に感謝してお供えする作物の一つでもあります。
親芋にたくさんの子芋が付き、さらに孫芋へと数が増えていくので、子孫繁栄の縁起の良い食べ物としても利用されています。例えば、縁起物のおせち料理のお煮しめにも里芋が入っていますよね。
里芋には、セレベス、たけのこいも(筍芋)、みずいも(水芋)、やつがしら(八つ頭)、京いも、えびいもなど、たくさんの種類があります。中でもやつがしら(八つ頭)は、「八」の末広がりという意味からも、縁起の良い食べ物とされています。
里芋の栄養と愛媛の里芋「伊予美人」
里芋は独特のぬめりがあるのが特徴です。このぬめりの成分であるガラクタンは、水溶性食物繊維の一種で、血圧を下げたり、血中のコレステロールを減らす効果が認められています。
愛媛のオリジナルブランド里芋「伊予美人」は、甘くて柔らかく、里芋本来のねばりが強い品種です。味にくせがなく、白くてきめが細かい肉質で、形が丸くそろっていることから「伊予美人」という名前で商標登録され、販売されています。
里芋の選び方・保存方法
里芋は生のものや下茹でして真空パック加工されたもの、冷凍加工品などさまざまな用途に合わせて加工され、販売されています。
里芋がおいしい旬の季節には、ぜひ生の里芋を味わいたいですね。生の里芋は腰が張っている形のよいもの、ふっくらと丸く太ったもの、茶褐色の皮の縞模様が均等でくっきりしたもの、適度に湿り気があるものを選びましょう。傷のあるものや触ってみて柔らかいもの、持ってみて軽いものは、中身が傷んでいることがあるので避けたほうがよいです。
また、生の里芋は土や泥が付いたもののほうが日持ちします。低温に弱いので冷蔵庫には入れず、湿度を保つために湿らせた新聞紙に包んで常温保存すると長期間保存できます。
里芋を使った郷土料理
愛媛県民に広く愛される郷土料理に「いもたき」があります。里芋の収穫時期になると、愛媛県の家庭では「いもたき」がよく食べられています。いもたきは、鶏肉、里芋、こんにゃく、しいたけなどの具材を、醤油味で煮込んだ鍋料理で、愛媛県の南予地方にある大洲市が発祥といわれています。300年以上の歴史があり、各家庭や地域によって具材や味付けもさまざまですが、白玉団子やイイダコが入る地域もあります。いもたきの残った汁にうどんを入れて食べるのが、お決まりの食べ方です。秋になると、河川敷でお月見を兼ねて「いもたき」の鍋を囲むイベントが各地で開催され、里芋を味わう恒例行事として、愛媛の中秋の風物詩となっています。
参考文献
・農林水産省:「うちの郷土料理 いもたき 愛媛県」、農林水産省、https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/imotaki_ehime.html、(閲覧日:2024年9月20日)
・一般社団法人 愛媛県観光物産協会:「受け継がれる郷土の味」、愛媛県の公式観光サイト【いよ観ネット】、https://www.iyokannet.jp/feature/gourmet/local、(閲覧日:2024年9月20日)
・えひめ愛フード推進機構事務局:「「愛」あるブランド産品 伊予美人」、えひめ愛フード推進機構、https://www.aifood.jp/product/detail/33、(閲覧日:2024年9月20日)
・実教出版編修部:「オールガイド食品成分表 2024」、実教出版、(2024)
・レジア:「日本の食材図鑑」、新星出版社、(2018)
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