その土地ならではの食材を紹介する「日本各地の食材紹介シリーズ」では、各地のおいしい食材情報だけでなく、旬や栄養、美味しい食べ方などをお伝えしていきます。
八丈島編の第4回目でご紹介する食材は、伊豆諸島を代表する野菜「明日葉」です!
明日葉とは
「今日その葉を摘んでも明日には新葉が出る」という名前の由来がある明日葉は、八丈島を原産地とする日本固有のセリ科の大型多年草です。伊豆諸島をはじめ、房総半島や三浦半島など暖かい太平洋側に自生していて、主に若芽を摘んで食用とします。
明日葉には八丈島系と伊豆大島系の系統があり、伊豆諸島でも島ごとに少しずつ形状が異なるといわれています。これらは一般的に茎の色で区別しており、八丈島産のものを「青茎」伊豆大島産のものを「赤茎」と呼んでいます。
栽培方法
明日葉は、種をまいた翌年から数えて2年ほど収穫することができます。11月頃に畑に種をまいてから6週間くらいで発芽し、春が近づき暖かくなってくると急成長して、梅雨頃には立派な形となり収穫が始まります。秋~冬が収穫の最も多い季節です。
種まきから3年ほど経ち、成長しきると白い花が咲きます。
明日葉の栄養
明日葉は緑黄色野菜に分類されており、食物繊維やカリウムなどが多く含まれています。特有の黄色い色素成分でポリフェノールの一種である“カルコン”は、根・茎・葉の順に多く含んでおり、断面からにじみ出ることが特徴です。昔は薬草として扱われており、貝原益軒(かいばらえきけん)による「大和本草」でも紹介されています。「明日葉を食べると胃の調子が良い」「傷止めに良い」など、さまざまな言い伝えがあり、これを検証した実験も行われています。
明日葉に含まれているポリフェノールの働きについては研究が進められており、血栓症や狭心症、動脈硬化などの生活習慣病の予防に有効であると考えられています。また、明日葉には神経性長因子の生産を促す作用が確認されており、認知症の予防分野でも注目されています。
おすすめの食べ方
■明日葉の炒め物
【材料】
・明日葉
・にんじん
・塩こしょう
・ごま油
【作り方】
① 明日葉とにんじんは洗って水気を切り、食べやすい大きさに切る。
② フライパンにごま油を入れて火にかける。
③ 温まったフライパンに①を入れて、塩こしょうで味を調えて完成。
■明日葉のツナ和え
【材料】
・明日葉
・ツナ
・マヨネーズ
【作り方】
① 明日葉は洗って水気を切り、ツナは水気を切っておく。
② 鍋にたっぷりの湯を沸かし、明日葉を茹でて水にさらして冷ます。
③ ②をよく絞り、食べやすい大きさに切る。
④ ③とツナをマヨネーズで和える。
緑黄色野菜である明日葉は油との相性が良く、調理することで独特の苦みが苦手な方でもおいしく食べることができます。生葉だけでなく、パウダー状に乾燥されたものなど、加工品も作られています。健康への働きかけも注目されている明日葉を食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考文献
・東京島しょ農林水産総合センター(閲覧日:2023.12.09)https://www.ifarc.metro.tokyo.lg.jp/archive/27,3115,63,302.html
・JA東京中央会(閲覧日:2023.12.09)https://www.tokyo-ja.or.jp/farm/edo/20.php
・J-STAGE『アシタバの成分と系統育成』(明日葉の抗菌作用)(閲覧日:2023.12.09)https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/58/12/58_12_999/_pdf/-char/ja
・馬場きみ江:「八丈島に原生する明日葉の研究」現代書林
・香川明夫:「八訂 食品成分表2023」女子栄養大学出版部(2023年)
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