メキシコ人から「教えて!」と言われる日本食は「すし」が定番でしたが、最近は「ラーメン」も頻出ワードになってきました。ラーメンは、好きな日本食の中にも必ず入ってくるほど、メキシコでの知名度も上がっています。
アメリカのラーメンブームとアニメの影響
約20年前からブームが始まったお隣の国アメリカからの影響や、日本の人気漫画の主人公の好物、ラーメンを食べてみたい!というニーズの高まりに伴い、メキシコでもラーメンブームが加速しています。
もともと1972年からメキシコで販売をスタートした日本の大手企業のカップラーメンが一般のスーパーでも必ずコーナーがあるほどメキシコに根付いていたことも受け入れられやすかった要因のひとつかもしれません。
最近は、「日本で食べておいしかったから。」と日本の味を求めて訪れる人も多いようで、スープも麺も本格的で、おいしいラーメンが増えています。
独自の進化を続ける日本生まれのカップラーメン
日本のカップラーメンのスープは、メキシコ人にとっては淡白に感じられるそうで、唐辛子ソースBarrencia(バレンシア)とレモンを搾って食べるスタイルが定番だそうです。最近はメキシコ屋台の定番料理(Suadero:スアデロ/タコスの具として定番の牛肉を豚の背油で焼いた料理)、(Esquites:エスキーテス/茹でたトウモロコシにマヨネーズ、レモン、粉末唐辛子をかけた料理)を乗せて提供する屋台が登場しているそうで、日本生まれのカップラーメンのメキシコ化が進んでいます。
茹でたとうもろこし・マヨネーズ・粉チーズ・唐辛子・レモンを組み合わせた、メキシコのストリートフードEsquites(エスキーテス)の屋台に並ぶ日本生まれのカップラーメン
下にカップ麺が入っていて、混ぜ合わせながら食べます。クセになりそうなジャンキーな味がします。
メキシコのラーメン屋さん
メキシコ人は一般的にアツアツの食事を好まず、麺をすする音を出したり、器に直接口をつけてスープを飲んだりは下品、という文化圏です。なので、メキシコで提供するラーメンのスープは適温、レンゲを少し大きめにして麺をすすらずに食べられるような工夫がされています。
客席は、一般的なテーブル席から目の前で湯気の上がるラーメンの湯切りを見られるようなカウンター席の店舗が増えてきました。また、食券の券売機やカウンター席に設置された粉茶と給湯器など、これまでメキシコでは見られなかったスタイルのラーメンチェーン店も登場し、人気を博しています。
価格は1000円未満で提供されることが多い日本のラーメンと比較すると、約$200‐250/杯(2024年8月時点で約7円/ペソ)と少しお高めです。そして専門店よりは、居酒屋メニューの一品にしているレストランが多いようです。
日本人オーナーさんが経営する本格的なとんこつラーメン店。
カウンターで食べるラーメンは、メキシコ人にも人気です。
L.A.から逆輸入、Birria-メン
店舗数が増え、とんこつ、味噌、しょうゆ、海鮮、ヴィーガン仕様など選択肢も増えてきました。そんな中、インスタント麺にBirria(ビリア)を乗せた「ビリアーメン」が話題です。
もともとはGuadarajara(グアダラハラ)地方の郷土料理だったビリアは、国境を渡りアメリカロサンゼルスで人気を博した後、メキシコに逆輸入されました。長年屋台のいちメニューであったビリアはアメリカに進出したことで注目を集め、提供する店も以前より増えているそうです。
メキシコ料理はユネスコ無形文化遺産に登録されたほど多彩です。具やスープによって様々に表情を変えるラーメンとメキシコ料理が、今後どのように融合していくのかとても楽しみです。
メキシコ料理Birria(ビリア)に日本のカップ麺を加えたBirriamen(ビリアーメン)
牛肉入りのトマトベースのスープに良くマッチして、なかなかいけます。
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