メキシコは日本のほぼ真裏に位置し、5.2倍の国土と22倍の農地面積を持つ広大な国です。直行便で14時間の距離がありますが、日本の食卓にのぼるアボガドやかぼちゃは、ほぼメキシコから輸入されています。
近年の世界的な和食ブームにより、私が生活するメキシコシティにも和食レストランがかなり増えました。スーパーでも「Shiitake」「Shishito」「kabocha」「tofu」など、日本語がそのまま使われている和食材を多く見かけるようになりました。メキシコと日本で食文化の違いはさまざまありますが、今回は「メキシコと日本の主食」、「トウモロコシと米」に焦点を当て、2回に分けて①栄養、②栽培方法、③神々との関係、④主食以外の活用方法や加工食品への利用についてご紹介していきます。
主食と豆の必須アミノ酸の補完関係
メキシコ料理の主食は、トウモロコシを挽いてから丸めて薄く延ばして焼いたTortilla(トルティーヤ)です。サイズはさまざまで、直径8㎝くらいの小さな物から20㎝くらいの大きなトルティーヤも見かけます。
ご飯とみそ汁が和食の基本であるように、トルティーヤと塩茹でのいんげん豆(Frijoles)は切っても切り離せない関係にあり、さまざまに形を変えてセットでメキシコ料理に利用されています。
トウモロコシといんげん豆の組み合わせを栄養面で見ると、米と大豆の関係と同じように主食で不足している必須アミノ酸のリジン、スレオニンを豆で補い、豆で不足するメチオニンを主食で補う関係にあります。
水田とミルパでの主食と豆の補完関係
化学肥料が使われる以前は、豆類の根にすみ着く根粒菌が空気中の窒素を土中に取り込む性質を利用し、水田に窒素肥料を供給する目的で水田横のあぜ道では、大豆や小豆が栽培される光景が多く見られました。同様にメキシコにはMilpa(ミルパ・写真)と呼ばれるトウモロコシ、いんげん豆、かぼちゃを1カ所で栽培するマヤ時代から続く伝統農法があります。上記3つの作物を一緒に栽培すると、それぞれトウモロコシの茎は豆のツタが伸びる支柱、いんげん豆の根粒菌は土中への窒素の供給源、かぼちゃの葉は土を覆って畑の過剰な乾燥を防ぐ日よけの役割を果たすので、単作栽培よりも効率よく収穫量を確保できたそうです。水田やミルパで補完関係にある主食と豆が、食材となっても必須アミノ酸を補完し合う関係にあるのはとても興味深いと思います。
ワラとトウモロコシの皮・髭の活用法
日本でワラを納豆の包材や草履、ワラぶき屋根などへの活用と同じように、トウモロコシのひげは家畜の飼料や畑の肥料に、実を包んでいる皮は乾燥させてTamales(タマレス・写真上)などの料理や工芸品(写真下)に活用されます。
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