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唐辛子の缶詰コーナーは広いスペースが確保されています。
どんな小さな商店にも必ず陳列されているので、メキシコ人の食生活に深く浸透していることを感じます。




100種類近くあると言われ、色や辛み、うま味など用途によって使い分けられるメキシコの乾燥唐辛子は、外国人の著者には理解しきれないほど奥深い世界観があります。
ほんの一部ではありますが、前編の生の唐辛子に引き続き、後編では乾燥唐辛子をご紹介していきます。

代表的な乾燥唐辛子3種及び、主な利用方法

メキシコ料理で乾燥唐辛子は「辛み」だけではなく「うま味」「色」が重視されているようです。(Chile Ancho(アンチョ唐辛子)・Chile guajillo(グアヒージョ唐辛子)・Chile pasilla(パッシージャ唐辛子))この3種の乾燥唐辛子は最も一般的に使われていてスーパーでもよく見かけますが、名前や特徴を憶えられても使い分けは外国人には難しいと感じます。
「アンチョ唐辛子」は前編でも登場した「Chile poblano(ポブラーノ唐辛子)」の乾燥で、生・乾燥共に高頻度で登場します。黒っぽい赤色の肉厚な唐辛子で、甘みと辛みがあり、干しブドウのような香りが特徴です。
「グアヒージョ唐辛子」は辛み・香りが少なく味も軽いので使いやすく、スープやソースなどメキシコ料理で最も使用頻度が高い唐辛子です。細長く、鮮やかな赤い色が特徴です。「パッシージャ唐辛子」は、辛みはほとんどありませんが酸味があり、肉厚で黒色が特徴です。アンチョ唐辛子同様、干しブドウのようなとても良い香りがします。
主な用途として「Mole(モレ)」、「Sopa(ソパ)」「Pozole(ポソレ)」を以下に紹介していきます。

市場の乾物コーナーでは乾燥唐辛子が山積みで売られています。

生と乾燥で呼び名が変わります。
グアヒージョ唐辛子とパッシージャ唐辛子は乾燥のみ流通していて、生で見かけることはほとんどありません。

Mole(モレ)ソース

メキシコ料理の中でも印象的な料理の一つが、カカオベースの濃厚なモレソースです。カレーライスに例えられることが多いのですが、カカオペースト、乾燥唐辛子、ピーナッツ・くるみ・南瓜の種・ごまなどの種実、赤緑のトマト、シナモンや胡椒などの香辛料、干しブドウ、ラードなど多彩な食材から独特の味わいが生まれます。甘くて辛くて苦い…味が想像できるでしょうか?
モレにも赤・黒・緑・黄色や地名がついたさまざまな種類があり、最も一般的な「Mole Poblano(モレ・ポブラーノ)」にはパッシージャ唐辛子とアンチョ唐辛子、「Mole negro(黒いモレ)」にはパッシージャ唐辛子、「Mole rojo(赤いモレ)」にはグアヒージョ唐辛子と仕上がりの色によって使い分けられます。

年末年始やSemana santa(イースター)に登場する「Romeritos con mole(ロメリートス・コン・モレ)」おかひじき、干しエビ、ウチワサボテン、じゃが芋をモレソースで煮込んだ行事食です。

Pozole(ポソレ)

ポソレはメキシコでとても愛されている伝統的なB級グルメ的メキシコ料理で、有名なポソレ専門店(Casa de toño)(カサ・デ・トーニョ/トーニョの家)は毎週末、長い行列ができるほどの盛況ぶりです。ポソレは豚肉の骨から取った豚骨スープにアンチョとグアヒージョ唐辛子、玉ねぎ、にんにく、ローレルを加えたスープをベースにした料理です。具は、通常より粒が大きくデンプン質の多い(Maíz pozolero・マイス・ポソレロ)とゼラチン質を多く含む豚の顔の肉、そして上にたっぷりの千切りレタスとラディッシュ、フレッシュチーズ、サワークリーム、アボガド、たっぷりのオレガノをトッピングして食べるのが一般的なスタイルです。

写真はPozole rojo(ポソレ・ロホ/赤いポソレ)他にVerdeとBlanco(ベルデとブランコ/緑と白)のポソレもあり、それぞれ味わいが違います。

Chile chipotle(チポートレ唐辛子)

最後は、前編でご紹介した「セラーノ唐辛子」を乾燥後、燻製したチポートレ唐辛子です。ナワトル語※で「燻製唐辛子」を表すChilepoctli(チレポクトリ)またはxipoctli(チポクトリ)が語源と言われ、長い歴史を持っていることが分かります。
辛みと独特の甘みと風味を持ち、トマト、玉ねぎ、にんにくと共に漬け込んだadobo(アドボ/マリネ)は、サンドイッチやハンバーガー、手羽唐揚げのソースなどに用いられています。燻製してあるのでとても固く、ひと晩浸水する手間を省くためかスーパーにはさまざまな種類の缶詰が販売されています。

ナワトル語※アステカ王国で使われていた言語、現在も120万人の話者がいる。




前編・後編と2回に渡りご紹介したメキシコの唐辛子、いかがだったでしょうか?
中南米の中でもメキシコほど唐辛子を活用している国はないようです。唐辛子はメキシコ料理の名脇役的存在です。



参考文献
・稲垣栄洋:「世界史を大きく動かした植物」  PHP研究所 (2018/6/18)



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メキシコの食材紹介~唐辛子~ 前編
日本とメキシコの主食の違い②



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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      146日前

      メキシコ在住の管理栄養士 宮内千奈美さんにメキシコの食材をご紹介していただくシリーズコラムです。今回は「唐辛子」の後編になります!

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WRITER

メキシコの食材紹介~唐辛子~ 後編

宮内 千奈美

2004年-2006年まで中米ホンジュラスで栄養士隊員として活動し、日本では主に病院を中心に臨床栄養に携わってきました。 現在はメキシコシティの恵光日本文化館(恵光寺)に勤務しながら、心も身体も健やかに保てるような食と栄養に関わる情報発信を継続しています。

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