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栄養価計算をしていると、「煮汁はどこまで計算に含めるの?」「漬け汁はどう考えたらいいの?」といった疑問に直面することはありませんか。
今回は、煮汁や漬け汁の栄養価計算について、考え方やポイントをご紹介します。

栄養価計算の基本の考え方

栄養価計算の大前提は「実際に食べる(飲む)量に基づく」ということです。例えば味噌汁のように全て飲み干す料理や、肉じゃがのように煮汁が残らない料理であれば、調理に使われる調味料を全量で計算します。一方で煮魚の煮汁や南蛮漬けの漬け汁のように、一般的に汁が残る料理であれば、その残る量を考慮して計算します。

以上の「実際に食べる(飲む)かどうか」と「どれだけ煮汁や漬け汁を摂るか」の視点が大切で、現実的な判断と調整が管理栄養士・栄養士の腕の見せ所です。

例:カレイの煮付けの栄養価計算

カレイの煮付けを食べるとき、一般的には煮汁はほとんど飲まずに魚をメインに食べます。
そのため煮汁に使った調味料を全量で計算してしまうと、実際の煮汁の摂取量よりも食塩相当量などの数値が高くなってしまいます。
この場合、食後に残る煮汁の量から逆算して「実際の煮汁の摂取量」を考えていきます。

以上の通り、食後に残る煮汁が80gと想定することで、煮汁の摂取量は約60%と推測することができました。
これをレシピの分量に反映させて栄養価計算します。

このように「実際の煮汁の摂取量」をもとに計算することで、より現実に近い栄養価を算出できます。南蛮漬けのような漬け汁のある料理も同様の考え方をします。

食後に残る煮汁・漬け汁の量の考え方

食材の個体差や食べ方の違いによって、食後に残る煮汁や漬け汁の量にはバラつきが発生します。調理し、食事をして測定してみることも一つですが、作業負担が大きくなってしまいますので、実際の栄養価計算ではあまり現実的とはいえないかもしれません。

そこで役に立つのが、女子栄養大学出版部が発行している「調理のためのベーシックデータ第6版」です。煮汁や漬け汁についても詳しく記載されていますので、近しい料理や調理法を参考にしてみてください。

ワンポイントアドバイス

計算の考え方は、栄養価計算結果の備考欄などに残しておくとよいでしょう。
例)「煮汁は全体量の半量を食すことを想定して計算した」
例)「漬け汁は55%が口に入るとして計算した」

栄養価計算結果の根拠になるほか、他の栄養価計算を行う際の参考になります。また、案件で栄養価計算を行う場合、クライアントに提出する際に栄養価計算の考え方が記載されていると、先方の確認作業もスムーズに進むでしょう。

今回は、煮汁や漬け汁の考え方について解説しました。栄養価計算の際のヒントになりましたら幸いです。



参考文献
・香川明夫:「調理のためのベーシックデータ」 第6版、女子栄養大学出版部、(2022)




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WRITER

栄養価計算での「煮汁・漬け汁」の考え方を徹底解説

大内 美幸

Eatreat株式会社/コミュニケーションマネジャー 認定栄養CS Eatreat/代表管理栄養士 レシピ動画アプリや献立作成アプリなど、多くのIT企業で管理栄養士として従事してきました。 食領域でのマーケティング経験も多数あります🍽 現在は、飲食店の立ち上げサポートや監修のほか、次世代の栄養士の人材育成にも力を入れています。 運営するEatreatアカデミーの卒業生は1,000名超え📝 Eatreatのことを知っていただくために、PR活動もがんばっています♪

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