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「鶏の照り焼きを作る時、下味に使った調味料は全て栄養価計算してしまってよい?」、「肉じゃがに使った調味料はどう栄養価計算する?」など、栄養価計算のささいな疑問を、実際の献立例を見ながらご説明させていただきます。

「調味パーセント」を意識したレシピ作りを!

レシピを作る時に意識するとよいのが「調味パーセント」です。調味パーセントとは、使用する食材の重量に対する、塩分や糖分の割合のことです。特に塩分は、料理の味に大きく影響するため、食材に対する「塩分パーセント」を常に意識してレシピを作成するとよいでしょう。食材が変わったとしても、調味パーセントをしっかりと考慮できていれば、比較的安定した味付けのレシピを作成することが可能になります。
一般的に「おいしい」と感じる塩分パーセントは、炊き込みごはんで1.2%、味噌汁やスープなどの汁物は0.8〜1.0%、焼き魚は一尾魚で1.0〜3.0%、切り身魚で0.5~1.0%、豚肉の生姜焼きは1.5%、煮物や煮魚は1.0〜1.5%、お浸しは1.0〜1.2%といわれています。

下味に使った調味料はどう栄養価計算する?

「鶏の照り焼き」の場合、下味は肉の重量の0.5%程度の塩分とし、肉の重量の1%塩分のタレをかけると塩分量が適正といわれています。具体的なレシピは以下の通りです。

鶏肉      200g
下味)
こいくちしょうゆ  6g(食塩0.9g)
みりん       6g
タレ)
こいくちしょうゆ  12g(食塩1.7g)
みりん       12g

浸け込み調理の場合、実際に使用した調味料の量ではなく、肉に吸収された調味料の量を栄養価計算に反映させます。女子栄養大学出版部が発行している「調理のためのベーシックデータ第5版」によると、鶏肉を0.5%塩分の浸け汁に10分間浸け込んだ場合の吸塩率は、70%です。この数値を参考にすると、塩分0.9gの70%、つまり0.6gが鶏肉に吸収された塩分量となります。これをこいくちしょうゆの重量に換算すると6gの70%ですので、4.2gが栄養価計算上必要な下味のこいくちしょうゆの重量ということになります。タレは全て口の中に入る計算ですので、タレに使用した調味料はそのまま栄養価計算をしてください。

煮汁に使った調味料はどう栄養価計算する?

「肉じゃが」などの煮物の場合、食材全体の重量に対して1%程度の塩分が適量といわれています。
煮汁を全て食材に吸収させることが可能な場合は、調味液の塩分パーセントを食材重量の1%に設定すると、ちょうどよくなります。この場合は、全て食材に調味料が吸収されていますので、実際に使用した調味料の量を、そのまま栄養価計算に反映させます。
煮汁を全て食材に吸収させることができない場合は、調理によって煮汁がどの程度減るのかを考慮して、煮汁の塩分パーセントを決定する必要があります。煮汁が50%残るのであれば、煮汁の塩分パーセントは2%程度がちょうどよい計算になります。この場合は、実際に使用した調味料の50%の分量を、栄養価計算に反映させます。

調理に使う調味料と栄養価計算に反映させる調味料

肉じゃがのレシピを参考に、調理に使う調味料と栄養価計算に反映させる調味料の違いをみていきましょう。

 

まとめ

レシピを作成する時、実際に調理で使用した調味料をそのまま栄養価計算に反映させてよいのかどうか迷いますよね。その時は、食材に対する吸塩率を考慮するとよいでしょう。食材の種類や調理方法によって吸塩率は異なります。女子栄養大学出版部が発行している「調理のためのベーシックデータ第5版」に詳しく記載されていますので、参考にしてみてください。

 

参考文献
・「調理のためのベーシックデータ」第5版、女子栄養大学出版部(1990)


   

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      1102日前

      栄養価計算でよくある質問を、イートリスタの高安ちえさんが解説するシリーズです。今回は、下味に使う調味料、煮物に使う調味料の栄養価計算について実際の献立例から解説してくださっています。

      拍手 0

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WRITER

栄養価計算のよくある疑問を解説!①

高安 ちえ

東京都内で飲食店を併設した認定栄養ケアステーションを運営しています。食や栄養に携わる栄養士自身が料理をし、提供するということが大切だと思い飲食店の経営を始めました。地域の方々が気軽に集まることができる場所づくりを目指しています。

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