栄養価計算をする際、細分化された食品の多さに、どの食品を選択すべきか悩んだことはないでしょうか。
本シリーズでは、2回にわたって選択を間違えやすい食品を食材群別でご紹介します。今回は穀類からピックアップしました。
①食パン
日本の家庭に馴染みのある一般的な食パンは、四角く焼き上がっている角形食パンです。この食パンは、食品成分表の「角形食パン 食パン」を選択します。
しかし近年、価格帯が高い高級食パンが流通するようになり、食品成分表でも新たに収載されました。高級食パンは、一般的な食パンよりもコクや甘みを感じる商品が多く「食パン リッチタイプ」を選択します。
「角形食パン 食パン」と「食パン リッチタイプ」では、エネルギーや脂質などの栄養価に差があるため、選択を間違えないようにしましょう。
②クロワッサン
これまでの食品成分表では、1種類のみのクロワッサンが収載されていましたが、2020年版(八訂)からは「リッチタイプ」と「レギュラータイプ」の2種類となりました。これまで収載されていたクロワッサンは「リッチタイプ」とされ、新たに追加されたクロワッサンが「レギュラータイプ」の名称となっています。
パン屋で販売されているような、サクッとしていて層がはがれやすいタイプは「リッチタイプ」、スーパーで販売されているような、数個を袋に詰めていても層がはがれにくいタイプは「レギュラータイプ」を選択します。
「リッチタイプ」と「レギュラータイプ」では、食パン同様に栄養価に差があります。2015年版(七訂)でクロワッサンの栄養価計算をしていた場合は、再計算するとよいでしょう。
③米
水を張った水田で栽培する稲を「水稲」、 水を張らない畑で栽培する稲を「陸稲」と呼びます。陸稲は主にあられやおかきなどの加工品になることが多く、日本人が普段口にしているごはんは水稲による米です。
炊飯前の生米は「[水稲穀粒] 精白米 うるち米」、炊飯後のごはんは「[水稲めし] 精白米 うるち米」を選択します。
「水稲めし」の重量変化率は210%と大きいため、誤って炊飯前の「水稲穀粒」を選択すると栄養価が大きく変わってしまいます。栄養価計算で選択ミスしやすいので気をつけましょう。
本コラムでは、栄養価計算の際に選択を間違えやすい食品をご紹介しました。次回は野菜類や肉類での食品をピックアップして解説します。
参考文献
・文部科学省:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」、文部科学省、
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html、(閲覧日:2024年5月27日)
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