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栄養価計算は、料理や献立のエネルギーや栄養素量を算出する計算です。食品成分表を用いて実際に計算してみると、成分項目の選択に悩んだことはないでしょうか。本コラムでは、食品成分表の選択に迷いやすい成分項目について解説します。

成分項目数の変化

食品成分表に収載されている成分項目数は、栄養学や食品学、分析技術などの進歩により増加傾向にあります。1950年に公表された初版では14項目でしたが、2020年に公表された2020年版(八訂)では54項目と、この70年間で約4倍に増えました。成分項目数の増加によってより正確な栄養価計算が可能になりましたが、栄養素によっては細分化されて複雑になっている成分項目があります。

ビタミンA

ビタミンAの成分項目は「レチノール」「α-カロテン」「β-カロテン」「β-クリプトキサンチン」「β-カロテン当量」「レチノール活性当量」の6項目ありますが、栄養価計算では「レチノール活性当量」を選択します。

「レチノール」は動物性食品に含まれるビタミンAそのものです。「α-カロテン」「β-カロテン」「β-クリプトキサンチン」の3つは、体内でビタミンAに変換されるカロテン類のため、合わせて「β-カロテン当量」とも表します。
理解を深めたい方は、レチノール活性当量を算出する計算式も確認してみてくださいね。

レチノール活性当量(μgRAE)
=レチノール(μg)+1/12β-カロテン(μg)+1/24α-カロテン(μg)+1/24β-クリプトキサンチン(μg)+1/24その他のプロビタミンAカロテノイド(μg)


「α-カロテン」「β-カロテン」「β-クリプトキサンチン」を「β-カロテン当量」として計算する場合は

レチノール活性当量(μgRAE)
=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)


ビタミンE

ビタミンEの成分項目は「α-トコフェロール」「β-トコフェロール」「γ-トコフェロール」「δ-トコフェロール」の4項目ありますが、栄養価計算では「α-トコフェロール」を選択します。

トコフェロールはどれも体内でビタミンEとして働きますが、体内で最も多く、また最も生理作用が強いのがα-トコフェロールです。

ナイアシン

ナイアシンの成分項目は「ナイアシン」「ナイアシン当量」の2項目ありますが、栄養価計算では「ナイアシン当量」を選択します。

ナイアシンは動物性食品に多く含まれますが、アミノ酸の一種であるトリプトファンからも体内で合成されます。このトリプトファン含有量も考慮してナイアシン当量を表します。
理解を深めたい方は、ナイアシン当量を算出する計算式も確認してみてくださいね。

ナイアシン当量(mgNE)
=ナイアシン(mg)+1/60トリプトファン(mg)


本コラムでは、迷いやすい成分項目の選択について解説しました。栄養価計算の際に参考になりましたら幸いです。



参考文献
・文部科学省:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」、文部科学省、https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html、(閲覧日:2024年4月26日)



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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      15日前

      栄養価計算のよくある疑問について管理栄養士の大内美幸さんに解説いただくシリーズ。今回は、食品成分表の選択に迷いやすい成分項目について解説いただきます。

      拍手 1

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WRITER

栄養価計算の疑問を解決!成分項目の選び方は?

大内 美幸

Eatreat株式会社/コミュニケーションマネジャー 認定栄養CS Eatreat/代表管理栄養士 レシピ動画アプリや献立作成アプリなど、多くのIT企業で管理栄養士として従事してきました。 食領域でのマーケティング経験も多数あります🍽 現在は、飲食店の立ち上げサポートや監修のほか、次世代の栄養士の人材育成にも力を入れています。 運営するEatreatアカデミーの卒業生は1,000名超え📝 Eatreatのことを知っていただくために、PR活動もがんばっています♪

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