料理写真を「きれいに」「美味しそうに」撮るためには、ライティングが重要な役割を果たします。明るさや色の出し方によって、料理の印象が大きく変わるのです。連載第2回では、料理をより美味しそうに見せるための光の当て方や編集のポイントをご紹介します。
光の種類と角度に気をつける
室内での撮影時にライティング機材がないときは、室内灯か自然光で撮ることになります。この2つでは、仕上がりに大きな違いが生じます。
室内灯で撮影をした場合、ライトとの距離が近いため、写真の中に映り込む影の形がくっきりと出てしまいます。また、いろんな方向から光が入るため影が複数映り込み、自然光に比べて不自然な写真になってしまうことが多いです。そのため、可能な限り自然光で撮影をするのがおすすめです。(※1参照)
光の角度には、光が正面から当たる「順光」、横や斜めから当たる「斜光」、後ろから当たる「逆光」の3種類があります。
基本的には斜光、逆光から撮るのがおすすめです。順光で撮影した場合、料理に影ができずツヤ感も表現されない、のっぺりとした印象なってしまいます。(※2参照)
斜光や逆光は自然な影ができることで立体感やコントラストが生まれやすく、照りやシズル感のある写真に仕上がります。シズル感とは、料理のみずみずしさを表す言葉で、食欲などをかきたてるような感覚のことです。
室内で撮影をする場合は、横や斜め後ろに窓がくる位置に配置をして撮影をするとスムーズです。
撮影する角度に気をつける
料理の写真を撮影するときは、真俯瞰か斜めからの撮影になります。
真俯瞰の場合は、カメラとテーブルが平行になるように意識しましょう。平行が保てずに撮影をしてしまうとゆがみの原因になります。カメラのグリッド機能を使うと、平行になっているかがわかりやすいです。
斜めから撮影する場合、角度に悩んだときは被写体から斜め45度を意識すると撮影がしやすいです。
スマホで撮影をする場合、遠近感やゆがみが出やすく全体のバランスが悪い仕上がりになりやすいです。これは、スマホのレンズが広角レンズという広範囲を撮影できるレンズであるためです。
ゆがみに考慮して器の角度を調整することもできますが、ズーム機能を使って撮影すると簡単にゆがみが解消できておすすめです。
撮影後に写真を編集するときのポイント
撮影した写真は、編集をすることでよりきれいに仕上げて完成度を高めることができます。
▶切り抜きと傾き
撮影時に気づかなかったずれやバランスの違和感は、切り抜きや傾きで調整できます。編集時もグリッド機能を活用しながらゆがみが出ないように仕上げましょう。
▶明るさ
自然光で撮影した場合でも、環境条件によって暗めに写ってしまうことがあります。「露出」や「ブリリアンス」で写真全体の明るさを調整しましょう。ただし、明るくしすぎると白飛びするため、やりすぎない程度に調整することが大切です。
▶色調
ここでは、よく使う「彩度」「コントラスト」「色温度」「シャープネス」についてご紹介します。
・彩度:写真全体の色の鮮やかさを調整します
・コントラスト:色のメリハリをはっきりと出します
・色温度:写真の色合いを調整する項目で、青っぽい寒色系にするか、オレンジっぽい暖色系にするかを調整します。料理写真は、暖色系にした方が美味しそうに見えることが多いです。iPhoneの場合は「暖かみ」で調整します
・シャープネス:必要に応じて被写体の輪郭をくっきりさせると美味しそうに見せられます
編集時はどの項目も極端に強くしてしまうと写真に違和感が出てしまうので、どのくらいが美味しそうに見えるかを考えながら少しずつ調整しましょう。少なくとも彩度とシャープネスは調整すると仕上がりがよくなりますので、試してみてください。
まとめ
今回のコラムでは光の角度や撮影後の編集についてお伝えしました。これらを取り入れることで、料理写真のクオリティが向上しますので、一つ一つ確認してみてください。次回はスタイリングのコツやシズル感のある写真の撮り方についてお届けします。どうぞお楽しみに!
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