料理の写真を撮る時に「食べたくなるような写真」「ハッと目が惹きつけられる写真」を目指すための大切な要素として「スタイリング」と「シズル感」があります。本コラムではそれぞれのポイントを詳しく解説します。
スタイリングのポイント
スタイリングとは、撮影する料理を美味しそうに見せることだけではなく、「どんなシーンで食べてほしいか」をわかりやすく表現しています。
スタイリングをする上でポイントは多岐にわたりますが、特に意識したいのが色の組み合わせです。
料理写真には、メインの料理だけではなく、背景や器、必要に応じてシーンに合ったカトラリーやクロス、小物(プロップ)が入ります。これらの色の組み合わせを意識すると、写真の印象が大きく変わりますよ。
色の組み合わせの考え方について、3つご紹介します。
①含まれない色を使う
背景や器を料理に含まれない色味で統一することで被写体を引き立たせます。
②料理に含まれる色を使う
背景はシンプルにしながらも、料理に含まれている色と同色をプロップとして写真に入れると、親和性を出しながらまとまりのある写真に仕上がります。
③料理に対する補色を使う
補色とは色相環で正反対に位置する関係の色の組み合わせのことです。色の差が大きくお互いの色味が強調されて、料理を引き立たせてくれます。
スタイリングのアイテムを選ぶ時は、撮影する料理のイメージやシーンによってどの色味の組み合わせが良いかを考えてスタイリングしていきます。共通する点として、写真全体の色使いが多いとメインの料理に目がいかず散らかった印象になってしまいます。全体を4色以内に収めるように意識すると、統一感のある写真になりやすいのでおすすめです。
美味しそう=シズル感が重要
「シズル感」とは料理のみずみずしさを表す言葉で、食欲などをかきたてるような感覚のことです。じゅわ~っと溢れる肉汁やトロッとソースがたれる様子などさまざまなイメージがあります。
シズル感を撮影する時のポイントを3つ紹介します。
・寄りで撮影
質感や臨場感が伝わりやすいように被写体に寄って撮影をします。この時にピントを料理にしっかり合わせるようにしましょう。
・光を当てる
重要なのが光の当て方です。光を当てて料理のツヤ感を出すだけでもシズル感がアップします。料理の1番見せたいところを光源側に配置し、光をしっかり当てることでツヤ感を出します。
・動きをつける
ソースをかける、一口分をスプーンですくって持ち上げる、チーズを伸ばす等、食べているイメージができるような動きをつけることも1つです。
この場合、ソースの箇所やチーズが伸びている箇所が影にならず明るく光が入っていると、シズル感がより増して美味しそうな写真に仕上がります。
撮影をする直前に、表面が乾いていないか、フレッシュ感はあるかどうかなどを確認しながら一番ベストな瞬間を撮るように意識して撮影してみてください。
料理写真を仕事にするならあると良いもの
料理写真の仕事で、自分で撮影した写真を編集するケースは非常に多いです。
編集作業をパソコンで行う場合、LightroomやPhotoshopというツールを使用することが多いです。スマホで編集する場合は、スマホに入っている標準の写真編集ツールを使用しています。モバイル版のLightroomやVSCOというアプリは細かい角度の調整や色彩の編集をすることができるのでおすすめです。
スタイリングをする仕事のために、日常的にPintarestという画像検索ツールやInstagram、料理雑誌でスタイリングや色使いの参考になる画像を見ています。器の選び方や配置、光の角度などを意識して見ると実践の場で活かせるのでおすすめです。
まとめ
本コラムでは、スタイリングやシズル感という「もっと美味しそうな写真」を目指すためのポイントについてお伝えしました。料理写真を撮る際の参考になりましたら幸いです。
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