COLUMN

特定保健指導の初回面接では、対象者の生活習慣を的確に把握することが支援の質を大きく左右します。本記事では、食事・運動・睡眠などの項目別にヒアリングする際のポイントを詳しく解説します。

生活習慣をヒアリングするときのポイント

生活習慣を把握する際は、対象者のライフスタイルを尊重しつつ、具体的な行動や数値に落とし込んだ質問を心がけます。
第4期ではアウトカム評価が導入され、実践可能な目標設定がより重視されるようになりました。そのため、食事・運動・喫煙・飲酒・睡眠など、生活全体のリズムを丁寧に聞き取り、行動変容のきっかけを共に見つける姿勢が求められます。喫煙や飲酒の質問票の選択肢が細分化されたことなどを踏まえ、「はい・いいえ」にとどまらず、頻度やタイミングまで具体的に確認することが大切です。「こうあるべき」と押しつけるのではなく、対象者自身の気づきを促す問いかけを意識しましょう。

食事面

食習慣のヒアリングでは、「間食は1日何回か」「外食は週に何回か」など、具体的な行動に対して、頻度や量に焦点を当てて質問することで、生活の中で改善しやすいポイントが見つけやすくなります。
朝食の有無や主食の種類、野菜の摂取量といった基本的な食事パターンだけではなく、「何を」「どれだけ」「どのように(調理法や購入方法)」といった視点で丁寧に確認することが、効果的な支援につながります。
また、過度な制限を求めるのではなく、対象者が今できる小さな一歩を一緒に考える姿勢が、継続的な行動変容を促します。

運動面

運動習慣のヒアリングでは、運動する頻度や内容に加え、通勤や家事による日常的な身体活動も含めて評価します。
運動や身体活動の聞き取りでは、「週に何回・1回あたり何分実施しているか」「いつ頃から実施しているか」「どのような内容か」など、できるだけ具体的に聞き取ることが大切です。メッツ(運動の強度)を用いて消費エネルギーを算出することで、「これだけ動けば○kcal消費できる」といった量が分かりやすくなります。

その他

ヒアリング時には、生活背景や心理的要因への配慮も欠かせません。仕事や家庭のストレス、介護や育児の状況など、日常生活の中での負担は、生活習慣の形成や改善に大きく影響します。「わかっていてもできない……。」という対象者の気持ちには、共感をもって寄り添うことが大切です。
特にICTを活用した支援では、表情や雰囲気が伝わりにくくなることもあるため、言葉遣いや話し方の「間」に工夫することで、信頼関係の構築につながります。こうした丁寧な関わりが、その後の継続支援の土台となります。

まとめ

特定保健指導では、生活習慣の丁寧な聞き取りが支援への第一歩です。第4期の方針を踏まえ、具体的かつ実践的なヒアリングを通じて、対象者の行動変容を後押しする支援を目指しましょう。




参考文献
・厚生労働省:「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」
 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001231390.pdf
 (閲覧日:2025年5月13日)

・厚生労働省:「特定健診・特定保健指導の見直しについて」
 https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/001127418.pdf
 (閲覧日:2025年5月13日)



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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      2日前

      特定保健指導の初回面接で行うヒアリング。管理栄養士で特定保健指導に従事されている千葉七海さんに、食事・運動・睡眠などの項目別にヒアリングする際のポイントを解説していただきました。

WRITER

千葉 七海

幼少期から食べることが大好きで「食に関わる仕事がしたい」とぼんやり考えていました。将来的に地元の八丈島で働きたいという思いが強く、「栄養士ならば病院や福祉施設、学校でも働けるのでは?」と考えたことがきっかけで栄養士となり、実務経験と国家試験をへて管理栄養士となりました。 これまで、たくさんの出会いが私を成長させてくれました。管理栄養士としてフリーランスの今、本当にたくさんのお仕事に関わるチャンスが増えたと実感しています。良い意味で型にはまらず、どんなことにも挑戦していきたいと思います!

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