-
- 歯科と栄養
- 2017.10.31
むし歯の予防的な観点からの砂糖の摂取量について
むし歯と砂糖の関係
口の中には約300種類、数にして数億~10億個の細菌がいます。その細菌が、口の中の糖分を食べ、プラーク(歯垢)になります。このプラークを放置していると、細菌がプラークの中で酸を発生します。この酸が歯を溶かし、むし歯になります。
砂糖は1日にどのくらい摂っていいの?
WHO(世界保健機構)のガイドラインでは、大人と子供の砂糖の摂取量について次のように勧告をしています。「過体重、肥満、むし歯のリスク軽減のために、砂糖の1日の摂取量を全エネルギー摂取量の10%未満に減らしましょう。」
これは実際にどれくらいの量になるのか、計算してみましょう。
<成人の平均摂取エネルギー量2,000kcalの場合>
2,000kcal/日×10%=200kcal
200kcal÷4kcal/g=50g/日 (砂糖は1g当たり4kcal)
以上から摂取エネルギー量2,000kcalの成人の場合、1日に摂取できる砂糖の量は50gとなります。食事で摂る砂糖の量と、おやつや飲み物で摂る砂糖の量を半分ずつと考えた場合、おやつや飲み物で摂れる砂糖の量は1日25gです。
さらに、WHOは2014年の新指針で、引き続き砂糖の摂取量「10%未満を推奨する」としつつも、「5%より低ければ、さらに健康増進効果を得られる」と追加しています。
25gと言われてもイメージしにくいと思いますので、いくつか例を挙げておきます。
砂糖の量の参考例
●カステラ(50g)→24g
●大福もち(90g)→24g
●メロンパン(130g)→36g
●アイスクリーム(120ml)→24g
●ヨーグルト(120g)→16g
●炭酸飲料(500ml)→56g
●スポーツドリンク(500ml)→32g
●野菜ミックス飲料(350ml)→16g
砂糖は2歳まで必要ない!?
American Heart Association(アメリカ心臓協会)では、2~18歳は砂糖を1日25g以下、加糖飲料は1週間で236mlに制限するよう示しています。また、2歳未満の子供たちには砂糖は必要ないとしています。
砂糖の制限はむし歯だけではなく、肥満の予防など健康増進のためにも有効です。「おやつや飲み物で摂れる砂糖の量は1日25g」を参考に食生活を見直してみてはいかがでしょうか。商品の裏に記載されている栄養成分表示を活用して1日の砂糖の量を把握しましょう(砂糖としての記載がない商品もあります)。
参考文献 (1)WHO(2003)「食生活と栄養および慢性疾患予防について」より (2)AHA(2016)「子供は1日の砂糖の量を25g未満に抑えるべき/アメリカ心臓協会の科学声明」http://newsroom.heart.org/news/children-should-eat-less-than-25-grams-of-added-sugars-daily
おすすめコラム
食後じゃなくても歯みがきが必要な理由
歯周病を防ぐ食生活とは
むし歯を防ぐ食生活
みんなのコメント( 2 )
-
-
-
- 弦間 知子
- 2532日前
賀茂明子様
コメントありがとうございます。
患者さんからも人工甘味料の質問がよくあります。
ぜひコラムで書かせていただきますね。-
-
- ID: 313
- 2572日前
人工甘味料の話も気になります。
-
WRITER
-
弦間 知子
「お口の健康」は「全身の健康」に欠かせません。歯科に関することは学校でほとんど学んできませんでしたが、口腔内のケアの重要性を日々実感しています。 「お口の健康」がどうしてそんなに大切なのか、また管理栄養士としてなにができるのか、をお伝えしていけたらと思っています。
関連タグ
関連コラム
-
- 歯科と栄養
- 2017.11.01
30年先にも“噛める口”でいるには?
-
- 歯科と栄養
- 2017.07.24
食後じゃなくても歯みがきが必要な理由
-
- 歯科と栄養
- 2017.02.17
むし歯と食事の関係とは?
-
- 歯科と栄養
- 2017.12.28
食事で歯を強くできる?
-
- 歯科と栄養
- 2017.09.19
妊娠期の口腔内の変化
"歯科と栄養"に関するコラム
-