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- 管理栄養士・栄養士インタビュー
- 2018.05.25
「女性への栄養知識の普及」を目指して活動中。管理栄養士 薦岡ともよさん
今回は、企業・医療機関向けサービスを提供している企業のヘルシーワーク部門で活躍中の管理栄養士の薦岡ともよさんにお話をうかがいました。
管理栄養士を目指したきっかけは母
私が栄養士を目指したきっかけは母でした。高校生の時には部活とアルバイトと遊びと、毎日大忙しで、ギリギリまで進路のことは考えていなかったのですが、高校3年生の夏になり、「資格を取ることができて自分が好きなこと」を考えるようになりました。私の母はおばあちゃんの知恵袋のような知識が豊富で、小さい時から「こういう時はこれを食べなさい」「この組み合わせがいい」ということをよく教えてくれました。そのおかげで健康な身体でいられたと思うのですが、反面、「その知識ってホント?」という気持ちもあり…。正しい知識を学びたいと思うようになりました。
また、母との喧嘩を機にお弁当を自分で作るようになっていたので、料理は好きでした。このようなことから、迷いなく栄養科への進学を決めました。
家族の食を担う女性に向けて食の知識を伝えたい
大学で栄養学を学ぶ中で、調理や衛生管理よりも、解剖生理学や心理に関心が芽生えました。また、食生活という視点でまわりを見てみると、知識も実践レベルも本当に個人差があるということを実感しました。そして、個々に合わせた栄養指導がしたいと考えるようになりました。
私自身は母のおかげで、「毎食野菜を食べる」「肉の日、魚の日がある」といった食生活が自然と当たり前になっていたんだ、ということに気が付きました。そして、家族の食を担う女性に向けて食の知識を伝えたいと考えるようになりました。ただ、それは漠然とした目標であり、就職を決める時には、直接人と関わりながら栄養指導ができるという点を重視して就職先を選びました。
目指していた栄養指導ができない状態に葛藤
最初は女性専用の痩身教室で食事や運動などの生活指導を行いました。数百人の会員様に対して、指導を行う中で、知識不足・コミュニケーションの取り方の未熟さを感じながらも、毎日の業務をただただこなす日々でした。栄養指導の理論は女子栄養大学の栄養バランスをきちんと考える手法をとっていましたが、目的が痩せることであったため、「減らしてください」「食べちゃったんですね」という指導ばかりになりました。
そのことに葛藤を持つようになり、転職を決めました。たくさんの女性の生活や気持ちを伺うことができたことは、その後の仕事において糧となるとても貴重な経験ができたと思っています。
基本の知識を学び、経験を積むことの重要性
現在の職場である株式会社とらうべは、助産師が代表の生活者と健康の懸け橋となるさまざまな業務を行う会社です。もともと栄養士業務はなく、医療職と総合職が働く会社でした。ちょうど転職を迷っていた時に、「これから特定保健指導業務を作り上げていく、そのために管理栄養士も必要」ということで、入社しました。前職の経験からも、「基本の知識を学び、経験を積む」ということがとても重要であることを痛感していました。
入社して自分はビジネスマナーも身に付いていない状態だということを実感しました。電話応対やメール対応、事務作業などすべてが学びでした。栄養士としては、まず糖尿病治療を行っているクリニックで8か月間ほど修行(笑)をしました。診察している様子を見たり、ほかのコメディカルとカンファレンスを開催したり、栄養指導や糖尿病教室、さらに学会や勉強会参加とほぼ休みなしでしたが、とても濃厚な日々を過ごしました。
当たり前である「食べる・飲む」をより良く
会社に戻ってからは、健康管理をどう仕事として行っていくか、構造づくりから携わらせていただきました。現在の主な仕事は、産業保健分野での健康管理に携わる業務です。特定保健指導をはじめ、企業での健康管理の中で、栄養相談や栄養セミナー、食堂環境の整備、情報発信など、さまざまな食アプローチを行っています。どんな仕事や生活環境の方でも、自らの健康状態を振り返り、食生活を見直すことで、それからの生活や健康状態は変わっていきます。年齢や性別、役職に関わらず、そのことに気がついていく姿を見ることはとてもやりがいを感じます。食堂環境を整備することで、全国平均に比べてかなり悪い状態だった健康診断の結果も少しずつ改善しています。このように、誰にとっても当たり前である「食べる・飲む」という生活に介入することの重要性を感じる日々です。
ただ、今の業務を行うに至るまでは簡単ではありませんでした。特定保健指導をはじめ、データヘルス計画や働き方改革が浸透してきて、企業における健康活動にも理解が深まってきているものの、多くの企業がコストをかけて栄養面への介入を実施するまでには至らないのが現状です。ほとんどが今までにないゼロからのスタート業務ですが、「やりたい」と思ってから業務になるまでには数年かかるのがほとんどです。クライアント先との関係づくりやプレゼン力、そのための知識の更新、そのすべてが、これまでの経験がいかされています。
とらうべは健康に携わるさまざまな業務を行っており、管理栄養士はひとりなので、そのほかに、栄養関連の原稿執筆やメーカーさんのレシピの栄養価計算、退職後の高齢者への健康支援なども行っています。
出産・子育てを経験し目標が具現化
職場とは別に地域での子育て支援にも関わりはじめたところです。自分自身が出産・子育てを経験したことで、学生時代の「家族の食を担う女性に対して食の知識を伝えたい」という目標が具体化していきました。学生時代に学んだ知識と自分の経験ではまだ不十分であるため、母子栄養協会で正しい知識を学び、その一方で、地域で離乳食をスタートするママたちと座談会を行ったり、プレママ・ママが集まる施設で交流をしながらアドバイスをしたりしています。ママたちが持っている悩みや不安は本当にさまざまであり、そこに役立てるよう講座や情報発信の場を作っているところです。
管理栄養士になって感じたこと
資格は職業ではないということを強く思います。進路や就職を決めるときには「管理栄養士」を仕事という視点で考えていました。実際には、資格を持っているだけでは仕事ができず、その資格を持ってどう仕事に生かすか、が大事です。
「管理栄養士として〇〇をする」というよりは、「管理栄養士として何ができるか」を日々考えているという感じです。「今の仕事が栄養士の仕事なのか?」と悩む栄養士は多いですし、私もそうでした。このような考え方になって、そのような悩みが減りましたし充実感も増えたと思います。
管理栄養士としてのやりがいを感じる時
管理栄養士は基本的に裏方で、主役はあくまでも個人の方や企業です。その方たちの食に関する価値観を、本人主体で健康的な方向に導いていくサポート役が管理栄養士です。そう思えるようになるには経験も時間も必要でしたが、結果的に良い方向に変わっていく方や企業を見ることがやりがいにつながります。対象となる方が「できそうだ」と安心して前向きになったり、面談をした後にその方の生活習慣が変わっていたり、食環境への取り組み後に企業の健康診断結果が改善したり、企業内で栄養に関わる業務に理解を得られたりと、「食に関する考えの変化」が見られる時には、「役立てたのかな」と嬉しく思います。
将来は「女性への栄養知識の普及」を具体化したい
今はひとり職場で、職種の違うメンバーと仕事をしています。同じ職種の栄養士・管理栄養士と志を共有して、管理栄養士ができることを仕事として広げていきながら、学生の時の目標である「女性への栄養知識の普及」を具体化していきたいです。
誰でも毎日行う栄養摂取に携わる管理栄養士・栄養士という資格は、とても魅力的ですし、ニーズも高いです。ただ、ひとり職場であったり、雑用が多かったりするのも現状なので、ぜひ、同じ職種との交流(同じ境遇だけではなく先輩とも!)をしながら経験を積んでいってほしいです。
みんなのコメント( 1 )
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- ID: 324
- 2361日前
女性の栄養知識の普及ってとても大事だと思います!!
頑張ってください!-
WRITER
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Eatreat 編集部
Eatreat編集部
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