COLUMN

2020年4月以降、栄養成分表示の義務化により、私たちはスーパーやコンビニで手にする多くの食品の熱量(エネルギー)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量などの栄養成分を簡単に知ることができます。
今回は、この内の「炭水化物」について詳しくご紹介します。

炭水化物の分類

炭水化物は、大きく「糖質」と「食物繊維」の2つに分けられます。
栄養成分表示には、「炭水化物」とまとめて表示されているものと「糖質」と「食物繊維」に分けて表示されているものがあります。

 上の写真からもわかるように「炭水化物」は、「糖質」と「食物繊維」両方を合わせたものです。

糖質と糖類の違い

「糖質」とは、「炭水化物」から「食物繊維」を除いたものです。
「糖類(単糖類・二糖類)」「少糖類」「多糖類」「糖アルコールなど」に分けられます。
「糖類」とは、「糖質」の内の「単糖類」と「二糖類」のみを示します。

一般的に炭水化物は、1g4kcalと伝えられていますが、糖アルコールや食物繊維などを含めて考えると、実際には0~4kcalということになります。

食物繊維のエネルギー

「食物繊維」は、人の消化酵素で消化されない食物中の難消化成分と定義されています。
「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」に分けられ、それぞれの産生するエネルギーは異なります。
例えば、水溶性食物繊維であるペクチンは、大部分が腸内細菌による発酵を受けるため、2kcal/gのエネルギーを産生しますが、不溶性食物繊維であるセルロースは腸内細菌による発酵を受けず、産生するエネルギーは0kcal/gです。
このように、食物繊維は、腸内での発酵分解率によって3段階にエネルギー換算係数が決められています。


まとめ

今回は、栄養成分表示に見る「炭水化物」についてご紹介しました。
「糖アルコール」や「人工甘味料」を使用した食品も多く出回り、一般的な糖質とは分けて考える必要があります。
次回は、一般的な糖質とその他の糖質についてより詳しくご紹介します。

 

参考文献
・消費者庁 難消化性糖質及び食物繊維のエネルギー換算係数の見直し等に関する調査・検証事業報告書
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2019/pdf/food_labeling_cms206_200424_02-2.pdf (閲覧日:2023年1月16日)

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      653日前

      管理栄養士の松岡喜美子さんに「炭水化物」について詳しく解説いただくシリーズです。第1回目は、栄養成分表示に見る「炭水化物」がテーマです。

WRITER

松岡 喜美子

循環器病予防療養指導士 かがわ糖尿病療養指導士,ベーシックインストラクター(JCCA)、貯筋運動指導者、歯科栄養アドバイザー2級 大学卒業後、糖尿病クリニックでの栄養指導に従事しながら健康運動指導士を取得。 2008年よりフリーとしての活動を開始。 特定保健指導の立ち上げからスタッフ育成などにも携わり、これまでの指導件数は1万件以上。 生活習慣病予防セミナーの講師や企業やスポーツクラブでの運動指導なども行っている。 その他、企業HPのコラム執筆なども担当し、健康情報の発信や商品マーケティングなども行っている。 「栄養不良の二重負荷」という問題に対して、世界に貢献できる管理栄養士を目指しています。 ★2023年7月~ 訪問栄養指導をスタートしました。 プラダ―ウィリー症候群(PWS)の症例に関わられたご経験がある方、情報共有できたらうれしいです。

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