ご飯やパン、麺類に多く含まれているというイメージの強い炭水化物。その炭水化物は、私たちの体の中でどんな働きをしているのかご存知でしょうか?
炭水化物の働き、健康面からの視点、また上手に摂取するコツについて解説します。
炭水化物とはどんな栄養素?
炭水化物は、ブドウ糖などの「単糖」から構成されています。炭水化物を構成している単糖が1個のものを単糖類、2個結合しているものを二糖類、3~9個結合しているものを少糖類、10個以上のものを多糖類といいます。
単糖類や二糖類は「糖類」とも呼ばれ、甘味があり、水に溶けやすいのが特徴です。少糖類は「オリゴ糖」とも呼ばれ、甘味があり、水に溶けやすく、体内に吸収されにくいとされています。多糖類には、でんぷんやセルロースなどの非でんぷん性多糖類があり、甘味がなく水に溶けないものが多いです。
体内ではどんな働きをする?
炭水化物には、ヒトの体内で消化・吸収できてエネルギー源となる「糖質」と、ヒトの体内ではほとんど消化できずエネルギーとして利用されにくい「食物繊維」の2つに分けられます。
ここでは、主に「糖質の働き」について説明します。
糖質は1g当たり約4kcalのエネルギーになり、生命活動を行う上で欠かせない栄養素です。脳などの一部の組織では、単糖類の一つであるブドウ糖しかエネルギーとして使うことができません。また、グリコーゲンという貯蔵エネルギーの成分にもなり、核酸や糖たんぱく質の構成成分にもなっています。
どんな食品に多く含まれているか
炭水化物が多く含まれている食品は穀類です。穀類はいわゆる主食として食べるもので、ごはんやパン、麺類などの主原料です。主食をしっかりとることで、必要なエネルギー源を補給することができます。
また、かぼちゃ、とうもろこしなどの一部の野菜類、いも類、豆類、バナナやマンゴーといった果物類にも多く含まれています。
砂糖は炭水化物の含有量が食品の中で最も多いため、砂糖を使っているお菓子やジュースなども炭水化物が多く含まれています。
過剰摂取や摂取不足による健康への弊害
炭水化物はエネルギー源として働きますが、使われなかった余分なエネルギーは、最終的に中性脂肪に変換され、蓄積されていきます。そのため、炭水化物の過剰摂取が続くと結果的に肥満を招き、生活習慣病などのリスクにつながります。
反対に摂取量が不足するとエネルギーが不足し、疲労感やだるさ、体重減少につながります。また、脳などの一部の組織にエネルギーを補給されることができず、ひどくなると意識を失ってしまうこともあります。
管理栄養士が伝授!炭水化物を上手に食事からとるコツ!
炭水化物は、主食でとるのがおすすめです。毎食規則正しくとることと、自分の体や活動量に合わせて、必要なエネルギー分の炭水化物を摂取しましょう。砂糖がたっぷり含まれている甘いお菓子や飲み物は血糖値を急激に上げてしまうので、エネルギー源の補給としてはおすすめできません。
また、炭水化物からエネルギーを作るためにはビタミンB1などのビタミンB群が必要になります。米の場合、ビタミンB群は胚芽や外皮に多いため精白米の一部を玄米にしたり、胚芽精米を取り入れるのもおすすめです。精白米で食べる場合は、肉や魚と一緒にとることで効率よくエネルギーを補給することができます。
参考文献
・厚生労働省:「「日本人の食品摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html、(閲覧日:2022年2月15日)
・吉田企世子・松田早苗:「正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学」、髙橋書店、(2021)