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リンやカルシウムとともに、骨を形成する働きのある「マグネシウム」。どんな食品に含まれているかご存知でしょうか。
今回は、マグネシウムがどんな食品に多く含まれているのか、過剰摂取や摂取不足によるリスク、食事から上手にとるコツについて解説します。

マグネシウムとはどんな栄養素?

マグネシウムは多量ミネラルの一つで、体内には25gほど存在しています。そのうち50~60%は骨や歯に、残りは筋肉や脳、神経に存在しています。また、細胞内液に多く存在していますが、細胞外液には1%未満しか存在していません。
食事からマグネシウムを摂取した場合、腸管からの吸収率は40~60%と推定されていますが、摂取量が少ないと吸収率は上がります。

体内ではどんな働きをする?

マグネシウムは、骨や歯の形成をサポートしています。また、血液中のマグネシウムが少なくなると、骨からマグネシウムが放出されることで、濃度を一定に保つよう調整されています。
さらに、カルシウムの刺激による筋肉の収縮を調整や、血圧・体温の調整にも役立っています。
その他、神経伝達を正常に保つための働きや、糖質がエネルギーに変換されるサポート、たんぱく質の合成のサポートなど、さまざまな場面で働いているミネラルです。

どんな食品に多く含まれているか

マグネシウムはほとんどの食品に含まれています。
その中でも特に多いのが、アーモンドやカシューナッツといった種実類、ほうれん草などの葉物野菜、精製されていない玄米やそば、大豆・大豆製品に多く含まれています。
その他、キンメダイや牡蠣といった魚介類にも豊富です。

過剰摂取や摂取不足による健康への弊害

マグネシウムは過剰に摂取しても尿や汗と一緒に体の外に排泄されます。そのため、通常の食事の範囲では、過剰摂取による健康障害は報告がありません。ただし、腎臓に障害のある人は、マグネシウムの排泄がうまくいかない場合があるため注意しましょう。また、サプリメントや医薬品などからとりすぎると下痢を起こすことがあります。
マグネシウムはほとんどの食品に含まれていることから、欠乏症が起こることはほとんどありません。しかし、慢性的に不足すると、虚血性心疾患の可能性が高まることが確認されています。

管理栄養士から伝授!マグネシウムを食事から上手にとるコツ!

マグネシウムはさまざまな食品に含まれているため、欠食なくバランスよく食べれば特に問題はないでしょう。
精製されていない主食に多く含まれているため、白米を玄米や胚芽米に変更したり、食パンをライ麦パンに変更すると、摂取量をアップできます。
また、マグネシウムはカルシウムと拮抗してさまざまな働きに関わっていることが多いため、カルシウムとのバランスが重要だといわれています。具体的にはマグネシウム1に対してカルシウム2~3がよいといわれていますが、まだ確実な根拠が揃っていないため、今後の研究に期待です。

 

参考文献
・厚生労働省:「「日本人の食品摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html、(閲覧日:2023年9月27日)
・吉田企世子・松田早苗:「正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学」、髙橋書店、(2021)
・上西一弘:栄養素の通になる第5版、女子栄養大学出版部、(2022)
・厚生労働省:「マグネシウム」、e-ヘルスケアネット、https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-034.html、(閲覧日:2023年12月5日)

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WRITER

栄養素辞典㉑「マグネシウム」とは?

宮﨑 奈津季

女子栄養大学栄養学部実践栄養学科卒業。 介護食品メーカーで営業に従事した後、独立。 料理動画撮影やレシピ開発、商品開発、ダイエットアプリの監修、栄養価計算などの経験あり。 現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。 Chatwork、Slack、Zoom、Wordpressなどの使用経験あり。

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