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ビタミンの中で、最初に発見されたビタミンB1。ビタミンB1はどのような食品に多く含まれ、どのような働きをするかご存知でしょうか。
ビタミンB1の働きから、過剰摂取や摂取不足によるリスク、食事から上手にとるコツについて解説します。

ビタミンB1とはどんな栄養素?

ビタミンB1は、別名「チアミン」と呼ばれており、1910年に米ぬかから発見された水溶性のビタミンです。チアミンは、食品中だとリン酸が一つ結合したチアミンモノリン酸、二つ結合したチアミンジリン酸、三つ結合したチアミントリリン酸という形で存在しています。食品が調理、消化される際に酵素の働きによってリン酸がとれてチアミンとなり、空腸や回腸で吸収されます。食事からの吸収率は、食品ごとまた一緒に食べた食品によっても異なりますが、約60%程度といわれています。

体内ではどんな働きをする?

ビタミンB1の主な働きは、炭水化物の代謝のサポートです。ヒトは、ごはんやパンなどに多く含まれている炭水化物を主なエネルギー源としています。炭水化物を分解し、エネルギーを産み出すためには酵素の働きが必要なのですが、この酵素の働きを促しているのがビタミンB1です。つまり、ビタミンB1が不足してしまうと、効率よくエネルギーを作り出すことができません。
さらに、ビタミンB1は脳や神経の機能を正常に保つ働きもしています。

どんな食品に多く含まれているか

ビタミンB1を多く含む代表的な食品の一つは、豚肉です。脂身よりも赤身に多いため、ヒレ肉やもも肉に多く含まれています。豚肉の加工品であるハムやソーセージにも含まれています。魚介類では、ウナギやタイにも多く含まれています。
植物性食品では、豆・大豆製品、種実類に比較的多く含まれています。穀類にも含まれていますが、ぬかや胚芽の部分に含まれているため、精白された米や小麦粉にはほとんど含まれていません。

 

過剰摂取や摂取不足による健康への弊害

ビタミンB1が不足すると、炭水化物からエネルギーを充分に作ることができないため、疲れやすくなったり、イライラすることがあります。また、ブドウ糖を主なエネルギー源としている神経や脳にも影響します。慢性的に不足した場合、脚気やウェルニッケ脳症を発症するといわれています。
一方、食事やサプリメントによる過剰摂取に関する影響は報告されていません。

管理栄養士が伝授!ビタミンB1を上手に食事からとるコツ!

主食である米やパンからビタミンB1をとるには、精白されていない穀物からとることが重要です。米なら精白米ではなく玄米や胚芽精米、パンなら全粒粉やライ麦を使ったパンを選びましょう。豚肉を料理で使う場合は、ばら肉ではなく、脂身の少ないヒレ肉やもも肉を選ぶとビタミンB1をより多く補給することができます。また、ビタミンB1と結合して吸収率がアップするアリシンを含む食材と一緒に食べるのもおすすめです。アリシンは、玉ねぎやねぎ、にんにくなどに含まれています。
ビタミンB1は水溶性で熱にも弱いため、水に長時間さらしたり、加熱し過ぎると損失しやすいです。手早く調理することで、栄養素の損失を防ぐことができます。

 

参考文献
・厚生労働省:「「日本人の食品摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html、(閲覧日:2022年3月24日)
・国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所:ビタミンB1解説、「健康食品」の安全性・有効性情報、https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail173.html、(閲覧日:2022年3月24日)
・吉田企世子・松田早苗:「正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学」、髙橋書店、(2021)

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WRITER

栄養素辞典⑩「ビタミンB1とは?」

宮﨑 奈津季

女子栄養大学栄養学部実践栄養学科卒業。 介護食品メーカーで営業に従事した後、独立。 料理動画撮影やレシピ開発、商品開発、ダイエットアプリの監修、栄養価計算などの経験あり。 現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。 Chatwork、Slack、Zoom、Wordpressなどの使用経験あり。

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