水溶性ビタミンの一つであるビタミンB6。どんな食品に含まれているかご存知でしょうか? 今回は、ビタミンB6がどんな栄養素なのか、その働きや過剰・不足による健康リスク、食事から上手にとるコツについて解説します。
ビタミンB6とはどんな栄養素?
ビタミンB6は、ビタミンB群の一つです。ビタミンB6の働きをする成分としては、「ピリドキシン」「ピリドキサール」「ピリドキサミン」の3種類があり、体内ではほとんどがリン酸化体であるピリドキサールリン酸(PLP)やピリドキサミンリン酸(PMP)として、酵素たんぱく質と結合した状態で存在しています。食事からの利用率は73%と報告されており、通常の食事で欠乏することはほとんどないといわれています。
体内ではどんな働きをする?
ビタミンB6は、たんぱく質の代謝に関与している栄養素です。人間が食事からたんぱく質をとると、体内でアミノ酸に分解され、それらを利用して新たにたんぱく質を作り出しますが、ビタミンB6はたんぱく質を分解し再合成する過程を補酵素としてサポートしています。
また、ドーパミンやアドレナリンといった神経伝達物質の合成を促進したり、免疫機能の維持などさまざまな反応に関わっています。
どんな食品に多く含まれているか
ビタミンB6は動物性食品に多く含まれています。特に魚介類ではさまざまな食品に含まれていますが、ビタミンB6が冷凍や加工によって損失されやすいため、生魚に多い傾向にあります。中でも赤身のまぐろやかつお、さばなどに多いです。植物性食品では、にんにくに豊富に含まれています。肉類だと、牛・鶏レバーや鶏ささみに多いです。また、種実類であるピスタチオやくるみ、穀類だと玄米、果物だとバナナにも多く含まれています。
過剰摂取や摂取不足による健康への弊害
通常の食品からとる場合、過剰摂取による健康被害の報告はありません。ただし、サプリメントなどで長期間過剰に摂取し続けると、神経障害を引き起こす恐れがあります。症状としては、手足のしびれや痛み、感覚異常などです。
ビタミンB6は不足しにくい栄養素であるため、通常の食事では欠乏症はほとんど起こりません。しかし、不足すると皮膚炎や神経症状、貧血などが起こるといわれています。
ビタミンB6は、たんぱく質の摂取量が多い方や、食事制限などによりエネルギーの摂取不足でたんぱく質の異化代謝が亢進している場合は、必要量が増えることが分かっています。
管理栄養士から伝授!ビタミンB6を食事から上手にとるコツ!
ビタミンB6は、植物性食品に比べると動物性食品から摂取したほうが利用率が良いといわれているため、魚介類や肉からとるように心がけると良いでしょう。光に弱いこと、また水溶性であることから調理や加工により損失しやすいため、生の食品を手早く調理し、できるだけ早く食べるようにすると良いでしょう。
参考文献
・厚生労働省:「「日本人の食品摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html、(閲覧日:2023年1月25日)
・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:ビタミンB6解説、「健康食品」の安全性・有効性情報、https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail149.html、(閲覧日:2023年1月25日)
・吉田企世子・松田早苗:「正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学」、髙橋書店、(2021)
・上西一弘:栄養素の通になる第5版、女子栄養大学出版部、(2022)
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