骨や歯の形成に欠かせないといわれているビタミンD。どんな食品に多く含まれているのかご存知でしょうか?
ビタミンDが体内でどんな働きをしているのか、多く含まれている食品や、効率よく摂取するにはどうしたらよいかについて解説します。
ビタミンDとはどんな栄養素?
ビタミンDは、脂溶性ビタミンのひとつです。主に二つの成分があり、一つはきのこ類に含まれるビタミンD2「エルゴカルシフェロール」、もう一つは魚や魚の肝臓に含まれるビタミンD3「コレカルシフェロール」です。どちらも体内での働きに違いはありません。
私たちがビタミンDを補給する方法は二つあります。一つは、食品からビタミンD2、D3をとることです。もう一つは、皮膚が紫外線に当たることでコレステロールの一種からビタミンD3を体内で合成することです。
体内ではどんな働きをする?
ビタミンDは、小腸や腎臓でカルシウムやリンの吸収を促進しています。また、骨に対してカルシウムの沈着を助ける働きもあるため、丈夫な骨や歯を作るのに必要不可欠な栄養素です。さらに、ビタミンDは血中カルシウムの濃度の調整を行っています。血液中のカルシウム濃度が下がるとビタミンDが活性化され、カルシウムの吸収を高めます。
どんな食品に多く含まれているか
ビタミンDが多く含まれている食品は、主に魚介類ときのこ類の二つです。魚介類では特に鮭に多く含まれており、加工品であるスモークサーモンにも豊富です。他には、しらす干しやイワシの丸干しにも多く含まれています。きのこ類の中では、きくらげに最も多く含まれています。まいたけや干ししいたけにも多い傾向です。
過剰摂取や摂取不足による健康への弊害
ビタミンDはとりすぎると、嘔吐や倦怠感をともなう高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化などが起こるといわれています。これらは短期的でも長期的でも見られる症状です。
一方、不足している場合は、カルシウムの吸収が低下したり、骨代謝の異常がみられます。代表的な症状は骨軟化症、子どもの場合はくる病が引き起こされます。また、高齢者の場合、骨密度の低下により骨粗しょう症や骨折のリスクが高まります。
管理栄養士から伝授!ビタミンDを食事から上手にとるコツ!
きのこ類に含まれるビタミンDは、エルゴステロールと呼ばれるビタミンDのもとになるものが紫外線に当たることで生成されているため、生のきのこよりも天日干しされた干しきのこのほうが、ビタミンDが豊富に含まれていると考えられています。干しきのこを食べるなら、天日干しされたものを選ぶのがおすすめです。普段から野菜だけを意識するのではなく、きのこも一緒に食べるようにしましょう。
また、ごはんのお供にしらす干しをつけたり、サラダのトッピングにスモークサーモンを使うなど、ビタミンDを多く含む魚の加工品を取り入れてみるのもおすすめです。
参考文献
・厚生労働省:「「日本人の食品摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html、(閲覧日:2022年4月4日)
・厚生労働省:「ビタミンD」、eJIM、https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/10.html、(閲覧日:2022年4月4日)
・国立研究開発法人 医療基盤・健康・栄養研究所:ビタミンD解説、「健康食品」の安全性・有効性情報、https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail221.html(閲覧日:2022年4月4日)
・吉田企世子・松田早苗:「正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学」、髙橋書店、(2021)
関連コラム
・栄養素辞典④「食物繊維とは?」
・栄養素辞典⑤「ビタミンAとは?」