ヒトの体だけではなく、植物の生育にも必要不可欠なミネラルのひとつ、カリウム。どのような働きをする栄養素かご存知でしょうか?
カリウムがどのような栄養素であるのか、どんな働きをするのか、過剰摂取や摂取不足によるリスクについて解説します。
カリウムとはどんな栄養素?
カリウムは、主に細胞の内側に存在している陽イオン(K+)で、多量ミネラルのひとつです。成人の体内には、約120~200g含まれています。カリウムの再吸収と量の調節は腎臓が行っており、これにより血中のカリウム濃度は一定に保たれています。
体内ではどんな働きをする?
カリウムの主な働きは、細胞の浸透圧の維持や体液のpHの調節です。ナトリウムとバランスをとっているため、ナトリウムを過剰に摂取すると、カリウムはこれを排泄する働きがあります。特に日本では、ナトリウムの摂取量が諸外国に比べて多いため、カリウムの摂取が重要だと考えられています。
その他、筋肉の収縮や弛緩の調整をしたり、血圧を下げる働きがあります。
どんな食品に多く含まれているか
カリウムを多く含む食べ物は、野菜や果物、いも、大豆・大豆製品、海藻などです。
特にほうれん草、アボカドやバナナなどの野菜や果物に多く含まれています。ですので、野菜や果物を毎日しっかりとることができていれば、カリウムが不足することはあまりありません。大豆製品だと納豆に多く含まれています。
また、ドライフルーツやのり、ひじきなどの乾物は、乾燥させることで成分が凝縮されているため、カリウムが多く含まれており、効率的に摂取できる食品です。
過剰摂取や摂取不足による健康への弊害
カリウムはさまざまな食品に含まれているため、普通の食生活を送るうえで不足することはほとんどありませんが、不足すると体内でのカリウムの働きに影響が出てきます。筋力の低下や不整脈が起こりやすくなったり、脱力感や食欲不振といった症状が出ることがあります。
過剰にとりすぎた場合は、体内で調節され、排泄されることから健康への弊害は心配ないでしょう。ただし、腎不全などで腎臓の機能が低下している場合、尿中にうまくカリウムを排泄することができないため高カリウム血症になることがあります。
管理栄養士から伝授!カリウムを食事から上手にとるコツ!
カリウムは水溶性のため、ゆでると水に溶け出てしまい摂取量が少なくなります。そのため、野菜やいもはゆでてそのまま煮汁も一緒にとれる味噌汁やポトフなどの料理で食べるのがおすすめです。ただしこの場合、汁に含まれる塩分も一緒にとることになるため、なるべく薄味にしてナトリウムをとりすぎないように注意しましょう。
また、サラダで使う野菜や果物は生でそのまま食べられるため、効率よくとることができます。納豆もそのままごはんにかけるだけで立派なカリウムの摂取源です。調理をしなくても食べられる食品を、毎日どこかの食事に取り入れることで、カリウムを上手にとることができます。
参考文献
・厚生労働省:「「日本人の食品摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html、(閲覧日:2022年8月8日
・国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所:カリウム、「健康食品」の安全性・有効性情報、https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail575lite.htmll、(閲覧日:2022年8月8日)
・厚生労働省:、カリウム、e-ヘルスケアネット、https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html、(閲覧日:2022年8月8日)
・吉田企世子・松田早苗:「正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学」、髙橋書店、(2021)
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・栄養素辞典⑪「ビタミンB2とは?」
・栄養素辞典⑫「ナトリウムとは?」