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- 特定保健指導
- 2025.04.28
【特定健診・特定保健指導】第4期の変更点をまとめました
2024年4月に始まった「第4期特定健診・特定保健指導」では、生活習慣病予防の効果を高めるため、制度の見直しが行われました。
実施率の向上に加え、健康改善の効果に重点を置いた評価手法が導入され、より実践的なアプローチが推進されています。本記事では、第4期の変更点を解説します。
①評価体系の見直し:プロセス評価とアウトカム評価
これまでの特定保健指導では、支援の実施回数や時間といった「プロセス評価」が中心でした。しかし、第4期からは支援の成果を評価する「アウトカム評価」が導入され、両者を組み合わせた評価体系となりました。主要達成目標は、「腹囲2cm・体重2kg以上の減少」で、達成すると180ポイント付与され、成果が出たと評価されます。これが未達の場合でも、その他のアウトカム評価とプロセス評価の合計が180ポイント以上の支援を行うことで、特定保健指導終了とされます。
特定保健指導の目的は「生活習慣病への移行を防ぐ」ことです。そのため、対象者が健診結果を正しく理解し、生活習慣を見直した上で、行動目標を設定・実践できることが重要です。
評価体系の見直しにより、指導の質が重要視され、対象者のセルフケア能力の向上も期待されています。
②早期初回面談実施の評価
特定健診後、速やかに特定保健指導を開始することは、生活習慣の改善に効果的とされています。第4期では、特定健診当日の初回面接実施で20ポイント、健診後1週間以内の実施で10ポイントが加算されるようになりました。
これは、特定保健指導の実施率向上や、対象者の負担軽減、行動変容を促すことを目的としています。ただし、健診当日の初回面接には、実施者の確保や対象者の時間調整といった課題があります。そのため、1週間以内の分割実施も可能となりました。
特定保健指導の早期介入が促進されることで、対象者が健康状態を理解し、生活習慣を見直しやすくなることが期待されています。
③服薬開始者の対象外化
これまでは特定健診後に糖尿病などの診断を受けて服薬を開始した場合でも、特定保健指導の対象とされていましたが、第4期からはその対象から除外することが可能となりました。この見直しにより、実施率の向上が期待されています。
④ICTの活用推進
特定保健指導では、ICTを活用した遠隔面接が推進されています。第3期では対面と異なる最低実施時間が設定されていましたが、第4期では両者の最低実施時間が統一されました。
ICTを使った遠隔面接の推進により、在宅勤務者や遠隔地勤務者も対面と同等の支援を受けやすくなりました。ただし、通信環境整備や本人確認の徹底が必要で、接続・認証に要する時間は指導時間に含まれませんので注意してください。
⑤質問票および健診項目(中性脂肪)の見直し
第4期では、特定健診の質問票と健診項目が見直されました。喫煙や飲酒に関する質問の選択肢が詳細化され、より正確なリスク把握が可能となりました。
また、血中脂質検査の中性脂肪について、やむを得ず空腹時以外で測定する場合は食直後を除き随時中性脂肪による検査が認められるようになりました。具体的には、空腹時中性脂肪150mg/dl以上、または随時中性脂肪175mg/dl以上で追加リスクがカウントされます。これにより、健診の柔軟性と精度が向上しています。
まとめ
第4期特定保健指導では、評価方法の見直しなどが行われました。これらの変更は、生活習慣病予防の効果を高め、国民の健康増進に寄与することを目的としています。
今後もこれらの取り組みを通じて、より質の高い保健指導が提供が期待されています。
参考文献
厚生労働省:「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001231390.pdf
(閲覧日:2025年3月8日)
厚生労働省:「特定健診・特定保健指導の見直しについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/001127418.pdf
(閲覧日:2025年3月8日)
厚生労働省:「第4期特定健康診査等実施計画期間における保険者 種別の目標値について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001000404.pdf
(閲覧日:2025年3月8日)
厚生労働省:「特定健診・特定保健指導の実施状況について(2022年度)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001255672.pdf
(閲覧日:2025年3月8日)
関連コラム
・第3期の振り返りと第4期のポイントを解説【特定健診・特定保健指導】
・特定保健指導のお仕事が未経験・初心者の方に読んで欲しいコラム4選
みんなのコメント( 1 )
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- Eatreat 編集部
- 9時間前
特定健診・特定保健指導の第4期のポイントについて、特定保健指導に従事されている管理栄養士の千葉七海さんに解説していただきました。
"第4期特定健診・特定保健指導のポイント"のバックナンバー
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WRITER
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千葉 七海
幼少期から食べることが大好きで「食に関わる仕事がしたい」とぼんやり考えていました。将来的に地元の八丈島で働きたいという思いが強く、「栄養士ならば病院や福祉施設、学校でも働けるのでは?」と考えたことがきっかけで栄養士となり、実務経験と国家試験をへて管理栄養士となりました。 これまで、たくさんの出会いが私を成長させてくれました。管理栄養士としてフリーランスの今、本当にたくさんのお仕事に関わるチャンスが増えたと実感しています。良い意味で型にはまらず、どんなことにも挑戦していきたいと思います!
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