COLUMN

緊急事態宣言は解除され外出自粛の要請が解かれましたが、今後第二派の到来があるかもしれません。その時に備えてイートリスタの福島綾子さんが、外出自粛中の食事の工夫をお伝えします。

外出を控え過ぎて不健康に

高齢の方が新型コロナウイルスに感染すると、重症化しやすいことが明らかになっています。しかし、感染を恐れるあまり、外出を控え過ぎて、動かないことによる健康への影響も危惧されます。今まではフィットネスクラブに通ったり、自治体が主催する体操教室・介護予防教室や趣味の講座等に参加されていたりした方も、それらが休止になってしまい、身体を動かす機会をなくしてしまったという方も多いのではないでしょうか。

フレイル予防のための食事に注目を

また、最近では外出自粛による高齢者のフレイル(虚弱)予防にも注目が集まっています。フレイルとは、介護が必要とまではいかないけれど、身体的機能や認知機能が衰えてきた状態のことを指します。外出自粛で1日中家の中にいることで、食欲が落ちて低栄養になり、筋力が衰えていく。それによってさらに生活の動作が鈍くなって外出も難しくなるという悪循環に陥って、一気にフレイルが進むのではないかと心配されています。2週間寝たきりの状態が続くと、7年分の筋肉量が失われるともいわれています。

フレイル予防のために食生活で大切なことは、以下の通りです。

①1日3食、主食、主菜、副菜をバランスよく食べること
②たんぱく質の摂取量を特に意識すること
③無理のない適度な運動をすること







積極的に摂りたいのはたんぱく質

フレイルの発症予防のためには、たんぱく質は少なくとも体重1kg当たり1g以上/日の摂取が望ましいです。体重60kgの方なら、1日あたり60g以上が目安になります。
例えば、朝牛乳1杯と卵1個、昼に豚肉の生姜焼き2枚くらい、夜に焼き魚1切れ、このくらい食べると、たんぱく質の摂取量は1日60グラム程度になります。

また、自宅で3食作るのが大変な時は、缶詰のお魚や冷凍の餃子、焼売、親子丼、具の多いカレーのレトルトなど、たんぱく質を多く含んだ加工食品を活用するのもおすすめです。新型コロナウイルス感染症で気が滅入ってしまいがちですが、バランスの良い食事と感染症に配慮した適度な運動で、積極的にフレイル予防をしていきましょう。

 

参考文献
高齢者フレイルについて
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/427226.html
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=36258
オムロンHP 免疫について
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/160.html
日本生活習慣病予防協会HP
http://www.seikatsusyukanbyo.com/main/opinion/005.php
日本糖尿病協会HP
https://www.nittokyo.or.jp/modules/patient/index.php?content_id=90
農林水産省HP
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/oneday/idea2

 

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      1634日前

      Eatreat編集部です。外出自粛中の食事の工夫。今回は「高齢者編」です。

WRITER

福島 綾子

2013年から約7年間、アウトソーシング専門の企業で保健指導事業に携わってきました。保健指導は管理栄養士以外の職種でも行うことができる業務ですが、その中でより対象者さんから本音を聞き取りやすいのは管理栄養士ではないかと思っています。「医師や保健師の先生にはなかなか言えないけど」そう言ってこっそり食べている間食の内容を話してくれる対象者さんもたくさんいました。近所の知り合いに健康相談をするような身近な立場から対象者さんの健康をサポートしていけるように、これからも保健指導事業に関わっていきたいです。

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