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嚥下食とは

嚥下食とは、老化や、身体的・精神的機能の障害などにより、摂食や嚥下が困難な人のために嚥下機能のレベルに合わせて食形態を工夫した食事の総称です。摂食・嚥下機能の評価レベルに対応して嚥下訓練食・嚥下食・介護食の3つの段階で構成されます。

嚥下食の役割

嚥下障害の最も大きな問題は、食事や水分などを誤嚥することです。そこで、以前は誤嚥の危険を避けるために経管栄養や経静脈栄養法を選択することが一般的でした。しかし、口から食べないことにより食事からの味覚刺激を失い、食べる楽しみ、生きがいや人とのふれあいを失うなど精神面で大きな問題がありました。
また、脳、口腔、消化器官などは、動かし刺激し続けることでその機能を正常に維持することができるものです。特に高齢者は一度使わなくなるとその機能は短期間で衰えていき、回復には長い時間がかかってしまいます。

高齢化が進む日本では、総人口に占める65歳の割合が26.7%に達しており、今後もさらに増加が進むことが予測されています。高齢化による嚥下障害をもつ人の割合も同時に増加していくといえるでしょう。さらに、嚥下に障害のある高齢者の多くが低栄養状態であるといわれています。 また、身体的・心理的なさまざまな要因により摂食・嚥下が困難な小児においても、同じく低栄養になりやすい傾向があることが指摘されています。

以上のような要因により、誤嚥・窒息や、摂食・嚥下障害による低栄養・脱水を防ぎ、生きる喜びと意欲をもたらす有効な手段として、科学的な基準に基づく適切な嚥下食はますます重要視されてきているのです。

嚥下のメカニズム

目に見えない摂食の流れをイメージし、誤嚥のリスクを軽減するため、嚥下のメカニズムの知識は不可欠ですので、ここで簡単に嚥下のメカニズムを説明しましょう。嚥下には大きく分けて下記の5つの段階があります。

 
図:嚥下食ドットコム ホームページより



① 先行期(認知期)
・食べ物を認知する(目で見る、においをかぐなど)。
何をどのくらいどのように食べるかを判断する、口まで食べ物を運ぶまでを含む。
② 準備期(咀嚼期)
・食物を口に入れて咀嚼、口腔内で食物と唾液を十分に混ぜて嚥下可能なかたまりを作る。
このとき歯だけでなく食べ物をまとめるような舌の動きも重要になる。
③口腔期
・唾液と舌で食塊を作り、咽頭のほうへ送り込む。
③ 咽頭期
・咽頭が挙上し、ごくんと飲み込み、食塊を食道へ送り込む。
・嚥下反射により食塊を一瞬(0.5秒)で咽頭から食道に送る
⑤食道期
・食道の蠕動(ぜんどう)運動により、食塊を食道から胃へ送る。

誤嚥は、先行期から咽頭期までの各期のどこかで障害が発生した結果で起こりますが、咽頭期の体の機能低下が一番の原因になっています。しかし個人差が大きいので、摂食嚥下の流れの中で、どこに問題があるのかを評価し、対策をすることが大切です。

これまでの介護食

これまで、咀嚼機能や嚥下機能が衰えた人向けの食事としては、食材を柔らかく煮たり刻んだりした形状にしたものが一般的でした。しかし、嚥下に関する研究が進んだ現在では、この形態は嚥下食としては適さない場合が多いということがわかってきています。

嚥下に障害のある人は、上記の②準備期と③口腔期にあたる機能が低下している場合が多いので、口腔中で食物をかたまりとするのが難しく、食物が口腔内でバラバラになってしまうのです。また、飲み込んだ後もバラバラな形態の食物は口の中に残りやすいので、呼吸とともに誤嚥につながることも多くあります。
介護食に必要とされるのはまとまりやすく、口の中にくっつきにくい物性であるということが言えます。

「嚥下食とは ②~嚥下機能の評価と食事の分類~」では嚥下調整食などについて解説します。

参考文献
・平成28年版高齢社会白書(概要版)http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/gaiyou/s1_1.html
・小児の嚥下障害とリハビリテーション J-STAGE Journals https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/27/5/27_1183/_pdf
・『口から食べる嚥下障害Q&A 第4版』 藤島一郎 2011年 中央法規出版株式会社
・日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2013 https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf
・平成28年版高齢社会白書(概要版)http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/gaiyou/s1_1.html
・嚥下食ドットコム http://www.engesyoku.com/
・日本介護食協議会 http://www.udf.jp/index.html
・『介護食ハンドブック』 手嶋 登志子編著 2010年 医歯薬出版株式会社
・『病院・施設のための嚥下食ピラミッドによる咀嚼・嚥下困難者レシピ100』栢下 淳 編著 2009年 医歯薬出版株式会社

関連コラム
『比叡病院 管理栄養士 山本茂子さんインタビュー/嚥下食レシピコンテストで優秀賞を獲得するまで』
『在宅介護における「介護食」の実際①』
『経腸栄養、口から食べる大切さ』

協賛:株式会社マルハチ村松

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嚥下食とは ①~役割と嚥下のメカニズム~

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