高齢者の食事・介護食[在宅高齢者へのアプローチ]シリーズの第7回です。
今回は、高齢者の方々が日常的によい栄養状態を維持できるような食生活の工夫について、具体的にお話します。
これからの高齢者の栄養サポート
団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みを「地域包括ケアシステム」と言います。
この地域包括ケアシステムの始動、確立、運営について議論が進んでいる昨今、我々栄養士にできることを改めて考えてみたいと思います。今後さらに増加していく高齢者に対して、栄養士の数は圧倒的に少ないと考えられます。
高齢者一人一人に栄養士がつき、栄養管理を行うことができるのも理想ではありますが、基本的には、地域の高齢者の方がより長い期間、支えあいながら食生活も含め、自立して生活していくことが本来の理想となるのではないでしょうか。
自宅でも栄養バランスのよい食事を摂る工夫を
主食、主菜、副菜をもれなく食べてもらいたい…けれど、どうもいつも主菜が欠けている、副菜が足りないというお悩みを抱えている方にオススメしたいのが、ランチョンマット法です。
栄養バランスに不安がある方には、上の図のように印をつけておいたランチョンマットを使用し、欠けているものがないか確認するという方法がオススメです。この方法ならば自宅ででも、栄養バランスのよい食事を摂ることができます。
間食で栄養を摂る工夫も
また、一度の1食分の食事を摂るのが難しいという方も少なくありません。そのような場合には、10時、15時など、食間におやつの時間を設け、不足している栄養素をチャージするというのも有効な手です。栄養補助食品をおやつの代わりに摂取してもよいでしょうし、そういったものが苦手な方には、通常の食品で食べやすいものを摂取していただければよいと思います。
例えば、サンドイッチなどの軽食や洋菓子、チーズやヨーグルトといった乳製品などは、エネルギー、たんぱく質が比較的豊富なため、栄養補給にうってつけです。せっかくの食事は本人たちが楽しみながら摂取できるものがよいですね。
参考
厚生労働省 地域包括ケアシステム
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/
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