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新型コロナウイルス感染症が日本で初めて確認されたのは2020年1月14日でした。
当初はウイルス自体の情報や、感染予防の情報が乏しく、本当にアルコール消毒は効くのか? 空気感染はしないのか? など、さまざまな疑問や憶測が飛び交い、パニック状態にあったと思います。
中でも消毒用アルコールの供給不足が起こり、しばらくの間アルコール以外の消毒液が店頭に並ぶことがありました。そんな中、消毒剤の誤った使い方で健康被害を及ぼした事例も報告されました。
そこで、今回は改めて各種消毒剤と有効な使い方を振り返ってみましょう。

ウイルス・菌に「効く」とは?

これは実に多くの商品に書かれているフレーズですが、ウイルス・菌に「効く」とはどういうことなのでしょうか?
通常、感染症は原因となるウイルス・菌が体内に入り、そこで増殖した結果、咳や嘔吐といった症状が出ます。
ウイルスや菌が体内で増殖するためには、遺伝子情報(DNA,RNA=タンパク質)が必要になります。手指消毒用アルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどの消毒剤は、このタンパク質に作用し、増殖できないようにするため効果があるとされています。

 

手指消毒用アルコール

手指消毒用アルコールは、最も手軽で広く使用できる消毒剤です。
水がなく手洗いが難しいところでも活躍するので、非常に便利です。

WHOのガイドラインでは消毒に有効なアルコール濃度を60~80%としています。
コロナ禍で一時期、アルコール消毒剤が品薄の状態になっていましたが、手指などに使用する場合は、品質・有効性・人体への安全性が確認された「医薬品」「医薬部外品」と表示のあるものを使用してください。
また、アルコールは「全てのウイルス・菌に効く」と考えてしまいがちですが、効かないものも存在しています。
それがノロウイルスに代表されるノンエンベロープウイルスです。この種のウイルスには、通常の消毒用アルコールでは効果が認められないため、「酸性アルコール」が有効です。酸性アルコールは通常のアルコールよりも多種のウイルス・菌に効果が見られるため、おすすめです。

出典:サラヤHP「ノンエンベロープウイルスとは」、https://family.saraya.com/kansen/envelope.html

 

次亜塩素酸ナトリウム水溶液

※後述する次亜塩素酸水とは異なりますので、注意してください。

食品添加物に指定されていることから、調理器具の消毒や生野菜の洗浄などに使用されていますが、その効果は濃度によって変化するため上手に活用しましょう。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液は非常に強力な殺菌力がありますが、皮膚についてしまうと悪影響を及ぼす可能性があります。そのため絶対に手指消毒用としては使用しないでください。
その他に、「使用の際は必ず手袋を使用する」、「目に入らないように十分注意する」、「酸性のものと決して混ぜない」など、商品に記載されていることを必ず守ってください。
また、物に付着したウイルス・菌へ効果があるものの、アルカリ性の液になるため、材質によっては対象物を腐食させる可能性があります。使用の際は、必ず使用して問題がないものかを確認しましょう。

 

次亜塩素酸水

先述した次亜塩素酸ナトリウム水溶液とは異なり、次亜塩素酸水は酸性の消毒剤です。
テーブルやドアノブのふき取りでは、規定の濃度に調整したものを使用すると有効性が確認されておりますが、手指消毒剤としての有効性は検証されておりません。

こちらも濃度によって有効性が変化してしまうため、商品に記載の希釈濃度を遵守し、早めに使い切ることを心がけましょう。

まとめ

消毒剤は種類や濃度によって、使用できる範囲が「ヒト」「モノ」に分けられることがご理解いただけましたでしょうか。
また、正しく効果を発揮するためには「濃度」がポイントになるため、注意して使用してください。
各消毒剤の有効濃度については、厚生労働省のHP「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html)に記載されているので、ご確認ください。

日本全国で新型コロナウイルス感染者が増加しており、予断を許さない状況にあります。
特に家庭内感染が深刻な状況ですが、これを予防するためには、ウイルス・菌を「持ち込まないこと」が肝心です。
そのためにも、家に帰ったらまず玄関でアルコール消毒(濃度70%以上)を習慣化しましょう。
1日でも早い感染収束を願います。

出典:sarayacom「家庭内感染対策に!サラヤの「ハンドラボ 」で玄関消毒はじめよう」、https://www.youtube.com/channel/UCfx50_1AZWyKlOlNUzc7ibQ

 

 

参考文献
・厚生労働省:「新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生について(1例目)」、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08906.html
・ヨシダ製薬:「各種消毒薬の特性」、http://www.yoshida-pharm.com/2012/text05_02/
・神明 朱美:「殺菌・抗ウイルス効果に及ぼすエタノール濃度の影響」、http://www.thcu.ac.jp/uploads/imgs/20190605090207.pdf
・厚生労働省:「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html
・サラヤ株式会社:「次亜塩素酸ナトリウム液」、https://pro.saraya.com/sanitation/guide/info/info12.html

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      1160日前

      新型コロナウイルスの流行を機に、今まで以上に消毒剤が注目されました。一言に消毒剤と言っても、種類によって有効性は異なります。そこで、改めて各種消毒剤と有効な使い方についてをイートリスタの沢目さんが解説します。

      拍手 0

WRITER

消毒剤の種類と有効性を総まとめ!

沢目 晃誠

ロカボ(適正糖質)に関する情報はこちらから ・サラヤ公式HP(https://www.saraya.com/) ・ラカント公式HP(https://www.lakanto.jp/) ・ロカボスタイル公式HP(https://www.locabostyle.jp/)

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